アメリカの品目別貿易赤字ランキング

今度は品目別の赤字ランキングを確認していきます。アメリカが大きく輸入に依存している品目1位〜5位までです。

品目別貿易赤字1位:自動車(HS8703)1,603億ドル

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品目別赤字の1位は自動車製品(HS8703)でおよそ1,603億ドル(約22兆円)の赤字です。主にメキシコ・日本・韓国・カナダ・ドイツから自動車製品を輸入しています。

メキシコとカナダは世界各国のメーカーが北米市場向けの製造工場を設け、隣国である両国から輸出しているという形態となります。それに加えて、日本や韓国、ドイツといった主要自動車メーカーを抱える国々で製造された車両がアメリカに輸入されています。

品目別貿易赤字2位:PC(HS8471)1,013億ドル

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品目別赤字の2位はPC(HS8471)でおよそ1,013億ドル(約14兆円)の赤字です。主にメキシコ・中国・台湾・ベトナム・タイからPC製品を輸入しています。

自動車同様メキシコはアメリカへ工業製品の輸出拠点になっているため輸出金額が大きく、またPCにおいては中国ブランドも強いため、中国、台湾、ベトナムといった国々から大きな金額が米国へ輸出されています。

品目別貿易赤字3位:スマートフォン等通信機器(HS8517)761億ドル

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品目別赤字の3位はスマートフォン等通信機器(HS8517)でおよそ761億ドル(約11兆円)の赤字です。主に中国・ベトナム・メキシコ・インド・タイから通信製品を輸入しています。

トランプ関税においてサプライチェーン再編の話題でAppleのiPhoneが真っ先にニュースに上がりましたが、iPhoneは中国やインドで生産されているため、今回の関税の影響を大きく受けます。それ以外のブランドのスマートフォンも中国や東南アジアで製造されているものが多く赤字に寄与しています。

品目別貿易赤字4位:医薬品(HS3004)610億ドル

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品目別赤字の4位は医薬品(HS3004)でおよそ610億ドル(約8.5兆円)の赤字です。主にインド・スイス・アイルランドから医薬品を輸入しています。

医薬品については各国の製薬会社がそれぞれ特許を持っていることや、医薬品の性質上特定の国に製造が集中すると、災害や政治リスクが発生した場合に供給が止まってしまう可能性があるため、リスク分散の観点から出荷される国々が多岐に渡っています。比較的欧州からの輸入が多いですね。

品目別貿易赤字5位:原油(HS2709)559億ドル

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品目別赤字の5位は原油(HS2709)でおよそ559億ドル(約7.8兆円)の赤字です。主にカナダ・メキシコから原油を輸入しています。

原油はほぼカナダやメキシコから輸入しており、サウジアラビア等も輸入がありますがそこまで比率は多くありません。シンプルに距離が遠くなるほどコストがかさむため、基本的には近郊で調達することに合理性があります。

アメリカにおける貿易赤字品目の俯瞰図

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アメリカの品目別貿易赤字金額の構造を俯瞰して見てみましょう。第84類、第85類、第87類といった工業製品が全体のおよそ半分を占めており、輸入の依存度が高いことから米国内の製造業の弱さが顕著に表れています。

最終製品だけでなく第73類の鉄鋼製品や卑金属といった中間材も赤字になっているため、サプライチェーンの工程全体での強化が必要であるというのがトランプ大統領の意図のようです。

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