こんにちは、国際貿易動向を伝えるメディアLanesです。(Xはこちら)今回は自動車産業の国際貿易データから輸出入の傾向を解説します。この記事をご覧いただくことにより、自動車産業の国際的な動向の変化を知ることができます。

自動車産業における傾向と主要な産業をまとめると以下の通りです。

  • 世界の自動車関連製品に関わる製品[第87類:鉄道用及び軌道用以外の車両並びにその部分品]の貿易取引金額(輸入金額)は、、2004年のおよそ92兆円から、2023年ではおよそ266兆円と20年間で2.89倍に成長しています。
  • 2023年で輸出金額の最も大きい国はドイツでおよそ41兆円です。その後中国、日本が続いています。中国は2021年から急激に輸出シェアを伸ばしています。
  • 2023年で輸入金額の最も大きい国はアメリカでおよそ53兆円です。その後ドイツ、カナダが続いています。
第87類自動車関連の国際貿易統計概要
第87類自動車関連の国際貿易統計概要

※本来はドルベースでの比較が良いと思いますが、今回は分かりやすいように日本円に変換しているため、時系列データは為替の影響を含むものになっています。数字の増加や減少傾向はそちらを考慮の上捉えていただければと思います。

※世界の貿易金額の参考地として「輸入金額」をベンチマークしています。これは国内に到着した商品の記録として、正確性が比較的高いと判断するためです。一方で輸入金額はCIF価格ベースで報告されるため、商品自体の価値に加え、輸送費や保険を含めた金額であることに留意くしてください。

※上記のすべての情報は、あくまで参考として善意で提供されており、データや情報が将来にわたって正確であるという保証はありません。情報を利用する際には、ユーザー自身の判断と責任でご利用ください。

世界の輸入金額傾向

世界の自動車関連の輸入金額20年推移
世界の自動車関連の輸入金額20年推移

自動車関連製品に関わる製品[第87類:鉄道用及び軌道用以外の車両並びにその部分品]は、2023年の輸入金額ではおよそ266兆円となっており、HSコードの上2桁[類]の97類中、第4位の金額となっています。

また、[第87類:鉄道用及び軌道用以外の車両並びにその部分品]は、2004年のおよそ92兆円から、2023年ではと20年間で2.89倍に成長しており、成長率は97類中[第57位]となっています。

主要な輸出国と輸出金額の傾向

自動車関連の輸出金額上位5カ国の輸出金額推移
自動車関連の輸出金額上位5カ国の輸出金額推移

2023年における輸出金額は1位がドイツでおよそ41.3兆円です。続いて2位中国がおよそ27.0兆円3位日本が22.1兆円4位メキシコが21.9兆円5位アメリカが21.4兆円となっています。

ドイツが頭一つ抜け出しており、その他の4カ国の輸出金額は同水準です。全体的な傾向として、リーマンショック後の2009年は各国ともに輸出金額が減少しています。その後、全体的に緩やかに輸出金額は増加傾向にあったものの、コロナウイルスをきっかけに2020年にやや落ち込みましたが、現在は再び増加傾向にあります。特に2020年以後中国は急速に輸出金額を伸ばしており、2位にランクインしてきました。

2023年における自動車関連の国別輸出シェア
2023年における自動車関連の国別輸出シェア

2023年の輸出金額における各国のシェアです。トップ5のドイツ、中国、日本、メキシコ、アメリカで世界の輸出金額の50%を占めています。その後に韓国、スペイン、カナダが続きます。

主要な輸入国と輸入金額の傾向

自動車関連の輸入金額上位5カ国の輸入金額推移
自動車関連の輸入金額上位5カ国の輸入金額推移

2023年における輸入金額は1位がアメリカでおよそ53.4兆円です。続いて2位ドイツがおよそ22.2兆円3位カナダが12.9兆円4位イギリスが12.6兆円5位フランスが12.2兆円となっています。

輸入金額についてはトップ5を全て欧米諸国が占めています。その中でもアメリカが2位に2倍以上の差をつけた輸入金額となっており、圧倒的な需要地となっています。ドイツは完成車そのものの需要と共に、自動車製造用の部品の輸入も含めて金額が上がっています。

全体的な傾向としても輸出と同様にリーマンショック後に一時的な落ち込みがありますが、全体的に緩やかに輸入金額が拡大しています。中でもアメリカの増加率は他国と比較しても急激に成長していることがわかります。

2023年における自動車関連の国別輸入シェア
2023年における自動車関連の国別輸入シェア

2023年の輸入金額における各国のシェアです。トップ5の国々に加えて中国、ベルギーを含めて世界の輸入金額の50%を占めています。日本は1.3%と輸入金額は相対的に多くはありません。これは日本は日本車が強いマーケット観点での特性も関係しています。

参考:第87類に含まれる項目一覧(HSコード)

8701 : トラクター(第87.09項のトラクターを除く。)
8702 : 10人以上の人員(運転手を含む。)の輸送用の自動車
8703 : 乗用自動車その他の自動車(ステーションワゴン及びレーシングカーを含み、主として人員の輸送用に設計したものに限るものとし、第87.02項のものを除く。)
8704 : 貨物自動車
8705 : 特殊用途自動車(例えば、救難車、クレーン車、消防車、コンクリートミキサー車、道路清掃車、散水車、工作車及びレントゲン車。主として人員又は貨物の輸送用に設計したものを除く。)
8706 : 原動機付きシャシ(第87.01項から第87.05項までの自動車用のものに限る。)
8707 : 車体(運転室を含むものとし、第87.01項から第87.05項までの自動車用のものに限る。)
8708 : 部分品及び附属品(第87.01項から第87.05項までの自動車のものに限る。)
8709 : 自走式作業トラック(工場、倉庫、埠頭又は空港において貨物の短距離の運搬に使用する種類のものに限るものとし、持上げ用又は荷扱い用の機器を装備したものを除く。)及び鉄道の駅のプラットホームにおいて使用する種類のトラクター並びにこれらの部分品
8710 : 戦車その他の装甲車両(自走式のものに限るものとし、武器を装備しているかいないかを問わない。)及びその部分品
8711 : モーターサイクル(モペットを含むものとし、サイドカー付きであるかないかを問わない。)、補助原動機付きの自転車(サイドカー付きであるかないかを問わない。)及びサイドカー
8712 : 自転車(運搬用三輪自転車を含むものとし、原動機付きのものを除く。)
8713 : 身体障害者用又は病人用の車両(原動機その他の機械式駆動機構を有するか有しないかを問わない。)
8714 : 部分品及び附属品(第87.11項から第87.13項までの車両のものに限る。)
8715 : 乳母車及びその部分品
8716 : トレーラー及びセミトレーラー並びにその他の車両(機械式駆動機構を有するものを除く。)並びにこれらの部分品