こんにちは、国際貿易動向を伝えるメディアLanesです。(Xはこちら)今回は果物産業の国際貿易データから輸出入の傾向を解説します。この記事をご覧いただくことにより、果物産業の国際的な動向の変化を知ることができます。
果物産業における傾向と主要な産業をまとめると以下の通りです。
- 世界の果物に関わる製品[第08類:食用の果実(果物等)]の貿易取引金額(輸入金額)は、2004年のおよそ5.3兆円から、2023年ではおよそ21.8兆円と20年間で4.11倍に成長しています。
- 2023年で輸出金額の最も大きい国はアメリカでおよそ2.1兆円です。その後スペイン、メキシコが続いています。
- 2023年で輸入金額の最も大きい国はアメリカでおよそ3.4兆円です。その後中国、ドイツが続いています。
※本来はドルベースでの比較が良いと思いますが、今回は分かりやすいように日本円に変換しているため、時系列データは為替の影響を含むものになっています。数字の増加や減少傾向はそちらを考慮の上捉えていただければと思います。
※世界の貿易金額の参考地として「輸入金額」をベンチマークしています。これは国内に到着した商品の記録として、正確性が比較的高いと判断するためです。一方で輸入金額はCIF価格ベースで報告されるため、商品自体の価値に加え、輸送費や保険を含めた金額であることに留意くしてください。
※上記のすべての情報は、あくまで参考として善意で提供されており、データや情報が将来にわたって正確であるという保証はありません。情報を利用する際には、ユーザー自身の判断と責任でご利用ください。
世界の輸入金額傾向
果物に関わる製品[第08類:食用の果実(果物等)]は、2023年の輸入金額ではおよそ21.8兆円となっており、HSコードの上2桁[類]の97類中、[第29位]の金額となっています。
また、[第08類:食用の果実(果物等)]の輸入金額は、2004年のおよそ5.3兆円から、2023年では21.8兆円と20年間で4.11倍に成長しており、成長率は97類中[第20位]となっています。
主要な輸出国と輸出金額の傾向
上のグラフは[第08類:食用の果実(果物等)]の輸出金額ランキングTOP5の国々を示しています。2023年における輸出金額は1位がアメリカでおよそ2.1兆円です。続いて2位スペインがおよそ1.5兆円、3位メキシコが1.2兆円、4位オランダが1.2兆円、5位タイが9,700億円となっています。
また各国で輸出の中心となる年間1000億円以上の輸出がある品目として、アメリカは【アーモンド、ピスタチオ、リンゴ、ブドウ】、スペインは【オレンジ、ピーチ、レモン、ミカン、イチゴ】、メキシコは【アボカド、イチゴ、レモン】、オランダは【アボカド、ブドウ、バナナ】、タイは【ドリアン、ナッツ】となっており、地域によって異なっています。
2023年の輸出金額における各国のシェアです。トップ5のアメリカ、スペイン、メキシコ、オランダ、タイに加えて、チリ、ベトナム、中国、ペルーを加えて、世界の輸出金額の50%を占めています。輸出金額の3/4は19カ国で占められており、食用の果実や果物は世界中で栽培されているものの、国を上げて付加価値高く輸出できている国はそこまで多くないことになります。
主要な輸入国と輸入金額の傾向
上のグラフは[第08類:食用の果実(果物等)]の輸入金額ランキングTOP5の国々を示しています。2023年における輸入金額は1位がアメリカでおよそ3.4兆円です。続いて2位中国がおよそ2.6兆円、3位ドイツが1.8兆円、4位オランダが1.2兆円、5位フランスが9,400億円となっています。
輸入金額については欧米諸国が多く名を連ねていますが、中国が2010年頃から急激に輸入金額を増やしており、コロナ禍に入って以後も輸入金額は右肩上がりとなっています。日本にいるとイメージがつきませんが、中国で最も輸入が伸びているのは【ドリアン】であり、その金額は9,000億円を超えています。その他欧米諸国は【アボカド、バナナ、ブドウ】が輸入金額のTop3に入ってきており、流通の規模が大きい果実・果物と言えます。
2023年の輸入金額における各国のシェアです。トップ5の国々に加えてイギリス、カナダを含めて世界の輸入金額の50%を占めています。果実・果物は付加価値が大きく、比較的経済が豊かな国を中心として輸入の割合を占めています。
参考:第08類に含まれる項目一覧(HSコード)
0801:ココやしの実、ブラジルナット及びカシューナット(生鮮のもの及び乾燥したものに限るものとし、殻又は皮を除いてあるかないかを問わない。) |
0802:その他のナット(生鮮のもの及び乾燥したものに限るものとし、殻又は皮を除いてあるかないかを問わない。) |
0803:バナナ(プランテインを含むものとし、生鮮のもの及び乾燥したものに限る。) |
0804:なつめやしの実、いちじく、パイナップル、アボカドー、グアバ、マンゴー及びマンゴスチン(生鮮のもの及び乾燥したものに限る。) |
0805:かんきつ類の果実(生鮮のもの及び乾燥したものに限る。) |
0806:ぶどう(生鮮のもの及び乾燥したものに限る。) |
0807:パパイヤ及びメロン(すいかを含む。)(生鮮のものに限る。) |
0808:りんご、梨及びマルメロ(生鮮のものに限る。) |
0809:あんず、さくらんぼ、桃(ネクタリンを含む。)、プラム及びスロー(生鮮のものに限る。) |
0810:その他の果実(生鮮のものに限る。) |
0811:冷凍果実及び冷凍ナット(調理してないもの及び蒸気又は水煮による調理をしたものに限るものとし、砂糖その他の甘味料を加えてあるかないかを問わない。) |
0812:一時的な保存に適する処理をした果実及びナット(そのままの状態では食用に適しないものに限る。) |
0813:乾燥果実(第08.01項から第08.06項までのものを除く。)及びこの類のナット又は乾燥果実を混合したもの |
0814:かんきつ類の果皮及びメロン(すいかを含む。)の皮(生鮮のもの及び冷凍し、乾燥し又は塩水、亜硫酸水その他の保存用の溶液により一時的な保存に適する処理をしたものに限る。) |