こんにちは、国際貿易動向を伝えるメディアLanesです。(Twitterはこちら)今回は、日本の基幹産業である自動車業界の輸出傾向について紹介します。この記事をご覧いただくことにより、日本の鉱物性燃料(石油・石炭)輸入の現状と傾向を理解いただくことができます

  • 日本のエネルギー資源の市場変化に関心のあるビジネスパーソンの方々
  • 日本の輸入動向に関心のある方々
  • 市場の変化にご関心のある新規事業やビジネつ開発の方々

に喜んでいただける記事になっています。それでは詳細を見ていきましょう。

データの概要

今回取り扱うのは、輸入統計品目における、

第27類 鉱物性燃料及び鉱物油並びにこれらの蒸留物、歴青物質並びに鉱物性ろう

となります。詳細の項目は以下の通りです。

  • 2701:石炭及び練炭、豆炭その他これらに類する固形燃料で石炭から製造したもの
  • 2702:亜炭(凝結させてあるかないかを問わないものとし、黒玉を除く。)
  • 2703:泥炭(ピートリッターを含むものとし、凝結させてあるかないかを問わない。)
  • 2704:コークス及び半成コークス(石炭、亜炭又は泥炭から製造したものに限るものとし、凝結させてあるかないかを問わない。)並びにレトルトカーボン
  • 2705:石炭ガス、水性ガス、発生炉ガスその他これらに類するガス(石油ガスその他のガス状炭化水素を除く。)
  • 2706:石炭、亜炭又は泥炭を乾留して得たタールその他の鉱物性タール(再生タールを含むものとし、脱水してあるかないか又は蒸留により成分の一部を除いてあるかないかを問わない。)
  • 2707:高温コールタールの蒸留物及びこれに類する物品で芳香族成分の重量が非芳香族成分の重量を超えるもの
  • 2708:ピッチ及びピッチコークス(コールタールその他の鉱物性タールから得たものに限る。)
  • 2709:石油及び歴青油(原油に限る。)
  • 2710:石油及び歴青油(原油を除く。)、これらの調製品(石油又は歴青油の含有量が全重量の70%以上のもので、かつ、石油又は歴青油が基礎的な成分を成すものに限るものとし、他の項に該当するものを除く。)並びに廃油
  • 2711:石油ガスその他のガス状炭化水素
  • 2712:ペトロラタム並びにパラフィンろう、ミクロクリスタリン石油ワックス、スラックワックス、オゾケライト、モンタンろう、泥炭ろうその他の鉱物性ろう及びこれらに類する物品で合成その他の方法により得たもの(着色してあるかないかを問わない。)
  • 2713:石油コークス、石油アスファルトその他の石油又は歴青油の残留物
  • 2714:天然ビチューメン、天然アスファルト、歴青質頁岩、油母頁岩、タールサンド、アスファルタイト及びアスファルチックロック
  • 2715:歴青質混合物(天然アスファルト、天然ビチューメン、石油アスファルト、鉱物性タール又は鉱物性タールピッチをもととしたものに限る。例えば、マスチック及びカットバック)

データソースには2015年1月までは国連COMTRADE統計のデータを、2015年1月以降は日本の財務省貿易統計を利用しています。

貿易金額の10年間のトレンド

HS27の輸入金額10年間推移の線形グラフ

2023年の取引金額TOP5:

  • 2709:石油及び歴青油(原油に限る。)- 11兆2,681億3,244万2千円
  • 2711:石油ガスその他のガス状炭化水素 – 7兆4,752億4,746万4千円
  • 2701:石炭及び練炭、豆炭その他これらに類する固形燃料で石炭から製造したもの – 5兆9,467億8,554万7千円
  • 2710:石油及び歴青油(原油を除く。)、これらの調製品並びに廃油 – 2兆4,883億5,317万8千円
  • 2713:石油コークス、石油アスファルトその他の石油又は歴青油の残留物 – 1兆4,082億6,725万円

2023年の日本の鉱物燃料輸入は、原油が最も高い金額を示し、約11兆2,681億円に達しました。石油ガスが約7兆4,752億円で続き、石炭が約5兆9,468億円、石油製品が約2兆4,884億円、石油コークス等が約1兆4,083億円と続きます。これらの項目が鉱物燃料輸入全体の大部分を占めています。

27類は項目が多くグラフでは分かりづらい部分があるため、以下に片対数グラフと2023年の輸出金額のランキングを整理しました。

HS27の輸入金額10年間推移の対数グラフ

2023年の金額データでランキング:

  • 11兆2,681億3,244万2千円 – 2709:石油及び歴青油(原油に限る。)
  • 7兆4,752億4,746万4千円 – 2711:石油ガスその他のガス状炭化水素
  • 5兆9,467億8,554万7千円 – 2701:石炭及び練炭、豆炭その他これらに類する固形燃料で石炭から製造したもの
  • 2兆4,883億5,317万8千円 – 2710:石油及び歴青油(原油を除く。)、これらの調製品並びに廃油
  • 1兆4,082億6,725万円 – 2713:石油コークス、石油アスファルトその他の石油又は歴青油の残留物
  • 2,055億627万円 – 2707:高温コールタールの蒸留物及びこれに類する物品で芳香族成分の重量が非芳香族成分の重量を超えるもの
  • 459億8,127万9千円 – 2704:コークス及び半成コークス(石炭、亜炭又は泥炭から製造したものに限るものとし、凝結させてあるかないかを問わない。)並びにレトルトカーボン
  • 434億4,372万円 – 2703:泥炭(ピートリッターを含むものとし、凝結させてあるかないかを問わない。)
  • 257億1,474万円 – 2715:歴青質混合物(天然アスファルト、天然ビチューメン、石油アスファルト、鉱物性タール又は鉱物性タールピッチをもととしたものに限る。例えば、マスチック及びカットバック)
  • 220億356万円 – 2708:ピッチ及びピッチコークス(コールタールその他の鉱物性タールから得たものに限る。)
  • 97億2,473万4千円 – 2712:ペトロラタム並びにパラフィンろう、ミクロクリスタリン石油ワックス、スラックワックス、オゾケライト、モンタンろう、泥炭ろうその他の鉱物性ろう及びこれらに類する物品で合成その他の方法により得たもの(着色してあるかないかを問わない。)
  • 5億7,181万2千円 – 2702:亜炭(凝結させてあるかないかを問わないものとし、黒玉を除く。)
  • 2億3,250万9千円 – 2706:石炭、亜炭又は泥炭を乾留して得たタールその他の鉱物性タール(再生タールを含むものとし、脱水してあるかないか又は蒸留により成分の一部を除いてあるかないかを問わない。)
  • 2,179万3,300円 – 2714:天然ビチューメン、天然アスファルト、歴青質頁岩、油母頁岩、タールサンド、アスファルタイト及びアスファルチックロック
  • 0円 – 2705:石炭ガス、水性ガス、発生炉ガスその他これらに類するガス(石油ガスその他のガス状炭化水素を除く。)

10年間の変化率で市場の変化を読む

2013年から2023年の増加率TOP3:

  • 2715:歴青質混合物 – 2013年の3億733万7千円から2023年の25億7,147万4千円へ、736.64%増加
  • 2701:石炭及び練炭、豆炭その他これらに類する固形燃料で石炭から製造したもの – 2013年の2兆2,998億7,707万3千円から2023年の5兆9,467億8,554万7千円へ、158.57%増加
  • 2708:ピッチ及びピッチコークス – 2013年の9億229万4千円から2023年の22億35万6千円へ、143.86%増加

この10年間で、歴青質混合物、石炭、ピッチ及びピッチコークスの輸入金額が大幅に増加しました。特に歴青質混合物の伸び率は736.64%と際立っています。石炭も2013年の約2兆3,000億円から2023年には約5兆9,500億円へと約2.6倍に増加し、ピッチ及びピッチコークスも約2.4倍に増加しました。

2013年から2023年の減少率TOP3:

  • 2706:石炭、亜炭又は泥炭を乾留して得たタールその他の鉱物性タール – 2013年の67億397万8千円から2023年の2億3,250万9千円へ、96.53%減少
  • 2707:高温コールタールの蒸留物及びこれに類する物品で芳香族成分の重量が非芳香族成分の重量を超えるもの – 2013年の304億1,573万3千円から2023年の205億5,062万7千円へ、32.43%減少
  • 2709:石油及び歴青油(原油に限る。)- 2013年の14兆1,959億5,571万8千円から2023年の11兆2,681億3,244万2千円へ、20.62%減少

一方、石炭等を乾留して得たタール、高温コールタールの蒸留物、原油の輸入金額は大きく減少しました。石炭等のタールは2013年の約67億円から2023年には約2億円まで落ち込み、96.53%もの大幅な減少となりました。高温コールタールの蒸留物は32.43%、原油は20.62%の減少率を示しています。

まとめ

日本の鉱物燃料輸入は、この10年間で大きな変化が見られました。原油や石油ガスなどの主要項目は高い輸入額を維持しつつも、減少傾向にあります。一方で、石炭や歴青質混合物、ピッチ及びピッチコークスなどの輸入が大幅に増加しています。今後の市場動向を見極めるには、以下の点に注目すべきでしょう。

  1. 脱炭素化の流れによる化石燃料需要の変化:世界的な脱炭素化の流れの中で、化石燃料需要がどのように変化するかを注視する必要があります。再生可能エネルギーへのシフトが加速する可能性があります。
  2. 新興国の経済成長に伴うエネルギー需要の変化:アジアを中心とした新興国の経済成長により、エネルギー需要が拡大する可能性があります。日本企業は、これらの国々のニーズを的確に捉えた供給体制の構築が求められます。
  3. 地政学的リスクとサプライチェーンの変容:原油供給国の政情不安や紛争などの地政学的リスクは、常に注視が必要です。また、サプライチェーンの多様化や強靱化も重要な課題となるでしょう。

日本の鉱物燃料輸入は、世界のエネルギー情勢に大きく左右されます。脱炭素化の流れを踏まえつつ、新興国の需要増加にも対応できる柔軟な調達戦略が求められます。同時に、地政学的リスクへの備えとサプライチェーンの強化も欠かせません。変化の激しい市場環境の中で、日本企業には的確な情勢分析と戦略的な意思決定が益々重要になるでしょう。