30 秒で見る日本の貿易(2024 年)
日本の 2024 年の総輸出額は 約 107.1 兆円、総輸入額は 約 112.6 兆円、貿易収支は 約 5.5 兆円の赤字です(財務省貿易統計、円建て・税関ベース、確報値)。World Bank BoP の USD ベース(BPM6)でも輸出 約 6,945 億ドル・輸入 約 7,187 億ドル・収支 約 243 億ドルの赤字となり、いずれも赤字方向で一致しています。構造を見ると、最大輸出相手国は米国(20.3%)で、2017 年首位だった中国(18.7%)と入れ替わりました。最大輸入相手国は中国(23.5%)です。最大輸出品目は車両関連(HS87、22.98%)、最大輸入品目は鉱物性燃料(HS27、24.11%)で、エネルギー輸入依存が突出しています(シェアは CEPII BACI HS17 V202601 由来)。
- 総輸出: 約 107.1 兆円(財務省、WB BoP の USD ベースで約 6,945 億ドル)
- 総輸入: 約 112.6 兆円(同 約 7,187 億ドル)
- 貿易収支: 約 5.5 兆円の赤字(同 約 243 億ドルの赤字、いずれも 2024 年)
- 最大輸出相手: 米国 20.3%(2017→2024 で中国を抜き首位に、BACI シェア)
- 最大輸入相手: 中国 23.5%(BACI シェア)
- 最大輸出品目: 車両関連 HS87(22.98%)— うち乗用車 HS8703 が 16.4%
- 最大輸入品目: 鉱物性燃料 HS27(24.11%)— 原油 HS2709 10.6% + LNG HS2711 6.8% + 石炭 HS2701 3.9%
※ 本記事はデータソースを役割分担で使い分けています: 総額・収支・年次推移は World Bank BoP(200+ 国網羅、BPM6 国際標準、財務省統計と方向一致)を、相手国別 / HS4 桁品目別の構造分析は CEPII BACI HS17 V202601(UN Comtrade 調整版、FOB 統一・二国間データ)を用います。BACI と WB BoP は CIF/FOB 調整・報告国/相手国データの調和処理・対象範囲の違いにより総額で差が出ます。差の方向と幅は国・年・輸出 / 輸入で大きく異なり、日本の 2024 年は BACI 輸入が WB BoP より約 4% 小さく、輸出側はほぼ一致しています(参考まで、中国の 2024 年は BACI 輸入が約 26% 小さく、国によって幅は大きく変動します)。総額の議論には WB BoP / 財務省を、国別・品目別の構造分析では二国間ベースで 211 partner 国を網羅できる BACI を使う設計です。
日本の貿易プロファイル
日本は名目 GDP・財輸出額ともに世界有数の経済規模を持つ先進工業国であり、本記事の集計対象である主要 24 カ国の中でも中国・米国・ドイツに次ぐ大規模輸出国の一つに位置します(順位は統計定義・年次・基準通貨により変動するため、以下では BACI ベースの相対比較に絞って記述します)。産業構造は自動車・電子部品・産業機械を 3 本柱とする加工貿易型で、原材料・エネルギーを輸入し、高付加価値工業製品を輸出する典型パターンを示します。
典型的な「原材料・エネルギー輸入 → 高付加価値工業製品輸出」のパターンを示し、輸出側の上位 3 章(HS87 車両・HS84 機械・HS85 電気機器)で総輸出の 約 60%を占める一方、輸入側は鉱物性燃料(HS27)が単独で 24% を占めるなど、エネルギーや一次資源の対外依存度が構造的に高くなっています。
数字で見る日本の貿易構造(2017〜2024)
本節では 総額・収支・年次推移を財務省貿易統計(円建て・税関ベース)で示し、品目構成(9 大分類スタックバー)を BACI HS17 で示す役割分担で読み解きます。財務省ベースで日本の貿易収支は 1990 年代後半〜2010 年頃までの黒字基調 → 2011 年以降は赤字化が常態化 → 2022 年に過去最大の約 20.3 兆円の赤字 → 2024 年は約 5.5 兆円の赤字へと変化しました。輸出は 2018 年の約 81.5 兆円(USD ベースでは約 7,360 億ドル)でピークを打って以降ほぼ横ばい、輸入は 2022 年に約 118.2 兆円(USD ベースでは約 8,680 億ドル)まで急膨張した後に縮小しています。USD ベースの WB BoP(BPM6)でも 2022 年は約 1,157 億ドルの赤字、2024 年は約 243 億ドルの赤字と方向は一致しており、データ定義は違いますが収支悪化の構造は同じです。
| 年 | 輸出 (USD bn) | 輸入 (USD bn) | 収支 (USD bn) | 収支 (兆円) |
|---|---|---|---|---|
| 2017 | 688.7 | 644.8 | +43.8 | +2.9 |
| 2018 | 735.6 | 725.0 | +10.6 | -1.2 |
| 2019 | 695.2 | 693.8 | +1.4 | -1.7 |
| 2020 | 630.5 | 603.9 | +26.6 | +0.7 |
| 2021 | 749.8 | 733.1 | +16.7 | -1.7 |
| 2022 | 752.4 | 868.1 | -115.7 | -20.3 |
| 2023 | 714.8 | 763.5 | -48.7 | -9.3 |
| 2024 | 694.5 | 718.7 | -24.3 | -5.5 |
輸出/輸入の大分類別構成(2017〜2024)
HS 章を 9 大分類に集計したスタックバーで、構成変化を可視化します。輸出は輸送用機器・一般機械・電気機器・原料別製品の 4 大分類で約 80% を占める「工業製品輸出型」です。輸入は鉱物性燃料が単独で最大シェア(2022 年に 243B USD まで急増)で、続いて原料別製品・電気機器・食料品が並ぶ「資源・最終財輸入型」となっています。
貿易収支の構造分析(誰と・何で稼ぎ、誰に・何で支払うか)
総額(§3)では財務省 / BoP ともに 2024 年は赤字ですが、本節では BACI 二国間データ(211 partner 国網羅)で「誰と稼ぎ・誰に支払うか」の構造を分解します。日本の収支構造は米国・自動車で稼いで、中東・豪州・中国にエネルギー / 資源 / 中間財で支払う明確なパターンを示します。最大黒字相手は米国(約 9.3 兆円の黒字、BACI で約 616 億ドル)、最大赤字相手は豪州(約 5.0 兆円の赤字、約 330 億ドル)と中国(約 4.9 兆円の赤字、約 324 億ドル)です。最大黒字品目は乗用車(HS8703)の約 15.4 兆円(約 1,017 億ドル)、最大赤字品目は原油(HS2709)の約 11.0 兆円の赤字(約 730 億ドル)となっています。なお、本節 A-D 表の数値は BACI(FOB 調整版、USD 建て)由来のため §3 財務省 / BoP 表とは数 % 程度差が出ます(円換算は 2024 年平均 ≈ 151 円/USD)。
表 A: 黒字 TOP10 相手国
| 順位 | 相手国 | 輸出 | 輸入 | 収支 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | アメリカ | 141.0 | 79.5 | +61.6 |
| 2 | 香港 | 34.9 | 1.8 | +33.1 |
| 3 | 韓国 | 45.7 | 29.4 | +16.3 |
| 4 | インド | 18.8 | 6.3 | +12.4 |
| 5 | シンガポール | 20.3 | 9.2 | +11.1 |
| 6 | メキシコ | 13.7 | 5.6 | +8.1 |
| 7 | イギリス | 12.9 | 7.2 | +5.7 |
| 8 | オランダ | 9.3 | 3.8 | +5.5 |
| 9 | パナマ | 4.4 | 0.1 | +4.3 |
| 10 | ベルギー | 7.3 | 3.4 | +3.9 |
表 B: 赤字 TOP10 相手国
| 順位 | 相手国 | 輸出 | 輸入 | 収支 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | オーストラリア | 16.8 | 49.9 | -33.0 |
| 2 | 中国 | 129.8 | 162.2 | -32.4 |
| 3 | UAE | 8.4 | 36.8 | -28.4 |
| 4 | サウジアラビア | 8.2 | 29.8 | -21.6 |
| 5 | ベトナム | 15.9 | 26.5 | -10.6 |
| 6 | インドネシア | 14.1 | 22.0 | -8.0 |
| 7 | チリ | 2.1 | 8.4 | -6.3 |
| 8 | クウェート | 2.0 | 7.4 | -5.4 |
| 9 | イタリア | 4.7 | 10.0 | -5.4 |
| 10 | カタール | 1.8 | 7.0 | -5.2 |
表 C: 黒字 TOP10 HS4 品目
| HS4 | 品目 | 収支 |
|---|---|---|
| 8703 | 乗用車 | +101.7 |
| 8542 | 集積回路(IC) | +28.5 |
| 8486 | 半導体製造装置 | +21.4 |
| 8708 | 自動車部品 | +18.1 |
| 7108 | 金(非貨幣用) | +18.0 |
| 8429 | 建設機械 | +11.2 |
| 8443 | 印刷機械 | +9.1 |
| 8704 | 貨物自動車 | +9.0 |
| 8901 | 船舶 | +8.5 |
| 7208 | 鉄鋼コイル | +8.1 |
表 D: 赤字 TOP10 HS4 品目
| HS4 | 品目 | 収支 |
|---|---|---|
| 2709 | 原油 | -73.0 |
| 2711 | 石油ガス・LNG | -47.1 |
| 2701 | 石炭 | -26.7 |
| 8517 | 通信機器(スマホ等) | -19.3 |
| 8471 | コンピュータ | -15.7 |
| 2603 | 銅鉱石 | -13.2 |
| 2710 | 石油製品 | -11.0 |
| 2601 | 鉄鉱石 | -10.8 |
| 3004 | 医薬品(小売用) | -9.5 |
| 8544 | 電気ケーブル | -6.3 |
2022 年大幅赤字(約 11.4 兆円、BACI で約 864 億ドル)の構造分解
2021 年は約 2.8 兆円の黒字(BACI で約 257 億ドル)→ 2022 年は約 11.4 兆円の赤字(同 約 864 億ドル)へと 約 14.7 兆円(約 1,121 億ドル)の収支悪化が生じました。同期間のエネルギー輸入(HS27)の対前年差分は約 12.4 兆円増(約 940 億ドル増)(2021 年 約 16.4 兆円 / 約 1,495 億ドル → 2022 年 約 32.0 兆円 / 約 2,434 億ドル)で、これだけで収支悪化の 約 84% を説明できます。内訳は原油 約 4.7 兆円増(約 361 億ドル増)、LNG 約 3.3 兆円増(約 252 億ドル増)、石炭 約 4.1 兆円増(約 314 億ドル増)です。2022 年はロシア・ウクライナ戦争に伴う原油・天然ガス・石炭の世界的価格高騰と円安が同時に進行した時期で、輸入数量よりも単価上昇が支配的要因でした(出典: BACI、CEPII。円換算は 2022 年平均 ≈ 131 円/USD)。
経常収支と 4 構成要素の長期推移(1996〜2024)
本記事の主データである BACI は財貿易のみを対象としますが、日本の対外ポジション全体を理解するにはサービス収支と所得収支を併せて見る必要があります。経常収支は国際収支マニュアル(BPM6)上、① 貿易収支(BoP ベース)② サービス収支 ③ 第一次所得収支(対外投資収益・配当・利子)④ 第二次所得収支(贈与・送金)の 4 要素の合算として定義されます。図 4 は World Bank BoP データに基づく 1996〜2024 年の合計(経常収支)と 4 構成要素の長期推移で、日本が 2010 年代以降「貿易黒字国」から「投資収益で稼ぐ国」へ構造変化した姿が読み取れます。
1996〜2010 年は貿易収支(青実線)が経常黒字(薄灰棒)の主柱でしたが、2011 年の東日本大震災以降、貿易収支は赤字化が常態化しました。同期間に第一次所得収支(紫実線)は急拡大し、2022 年には過去最大の約 35.2 兆円(USD ベースで約 2,676 億ドル)に達しました。経常黒字の構造は「モノで稼ぐ」から「対外資産からの利子・配当で稼ぐ」へとシフトしており、これは円安や国内需要鈍化に対する経常収支の頑健性を支える要因となっています。
経常収支と 4 構成要素 比較表(2017〜2024)
| 年 | ① 貿易収支 (BoP) | ② サービス収支 | ③ 第一次所得 | ④ 第二次所得 | 合計: 経常収支 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2017 | +43.8 | -6.2 | +184.5 | -18.9 | +203.2 |
| 2018 | +10.6 | -9.2 | +194.0 | -18.2 | +177.3 |
| 2019 | +1.4 | -10.0 | +197.8 | -12.6 | +176.6 |
| 2020 | +26.6 | -34.2 | +181.8 | -24.1 | +150.0 |
| 2021 | +16.7 | -38.5 | +239.9 | -21.6 | +196.5 |
| 2022 | -115.7 | -42.2 | +267.6 | -19.5 | +90.2 |
| 2023 | -48.7 | -24.2 | +259.5 | -29.7 | +157.0 |
| 2024 | -24.3 | -18.3 | +262.8 | -30.5 | +189.8 |
2022 年の財貿易が大幅赤字(約 15.2 兆円、WB BoP ベースで約 1,157 億ドル。財務省ベースでは約 20.3 兆円)に転じた年でも、経常収支は約 11.9 兆円の黒字(約 902 億ドル)を維持しました。第一次所得収支が約 35.2 兆円(約 2,676 億ドル)に達し、貿易・サービス・第二次所得の合計赤字(約 23.3 兆円、約 1,774 億ドル)を吸収した格好となっています。
日本の輸出相手国ランキング・輸入相手国ランキング(2024 年)
日本の輸出は米国(20.3%)と中国(18.7%)の 2 国だけで合計 39%を占め、続く韓国・香港・タイ・シンガポール・ドイツが 3〜7%、上位 10 国合計で約 70% となっています。輸入側は中国(23.5%)が突出し、米国(11.5%)・オーストラリア(7.2%)・UAE(5.3%)・サウジアラビアと続きます。輸出 HHI は約 0.088、輸入 HHI は約 0.085でいずれも低集中域ですが、首位 1 国シェアは輸入で 23% に達し、特定相手依存の傾向は輸入側で強くなっています。
輸出 TOP10(2024)
| 順位 | 相手国 | シェア | 金額(USD bn) |
|---|---|---|---|
| 1 | アメリカ | 20.33% | 141.0 |
| 2 | 中国 | 18.71% | 129.8 |
| 3 | 韓国 | 6.59% | 45.7 |
| 4 | 香港 | 5.03% | 34.9 |
| 5 | タイ | 3.85% | 26.7 |
| 6 | シンガポール | 2.93% | 20.3 |
| 7 | ドイツ | 2.84% | 19.7 |
| 8 | インド | 2.70% | 18.8 |
| 9 | オーストラリア | 2.43% | 16.8 |
| 10 | ベトナム | 2.29% | 15.9 |
輸入 TOP10(2024)
| 順位 | 相手国 | シェア | 金額(USD bn) |
|---|---|---|---|
| 1 | 中国 | 23.51% | 162.2 |
| 2 | アメリカ | 11.52% | 79.5 |
| 3 | オーストラリア | 7.23% | 49.9 |
| 4 | UAE | 5.34% | 36.8 |
| 5 | サウジアラビア | 4.33% | 29.8 |
| 6 | 韓国 | 4.26% | 29.4 |
| 7 | ベトナム | 3.84% | 26.5 |
| 8 | タイ | 3.46% | 23.8 |
| 9 | インドネシア | 3.20% | 22.0 |
| 10 | ドイツ | 3.19% | 22.0 |
日本の輸出品目ランキング・輸入品目ランキング(2024 年)
輸出は機械類・電気機器・車両(HS84+85+87)の 3 章で総輸出の 約 60%を占めます。一方、輸入は鉱物性燃料(HS27)が単独で 24%と突出し、電気機器(HS85)と機械類(HS84)が続きます。日本は典型的な「資源・エネルギー輸入 → 工業製品輸出」型の貿易構造を維持しています。HS 4 桁粒度に降りると、輸出は乗用車(8703)+ 集積回路(8542)+ 半導体製造装置(8486)の 3 品目で約 26%、輸入は原油(2709)+ LNG(2711)+ 石炭(2701)のエネルギー 3 品目で約 21% を占めるなど、戦略品目の集中構造が一層鮮明に見えてきます。
輸出 HS章 TOP10(2024)
| HS | 章名 | シェア | 金額(USD bn) |
|---|---|---|---|
| 87 | 車両およびその部分品 | 22.98% | 159.4 |
| 84 | 機械類(原子炉・ボイラー含む) | 19.55% | 135.6 |
| 85 | 電気機器・電子機器 | 16.96% | 117.6 |
| 90 | 光学・医療・精密機器 | 5.50% | 38.1 |
| 72 | 鉄鋼 | 3.95% | 27.4 |
| 39 | プラスチック製品 | 3.59% | 24.9 |
| 71 | 真珠・貴金属・宝石 | 3.58% | 24.8 |
| 30 | 医薬品 | 2.10% | 14.5 |
| 29 | 有機化学品 | 1.97% | 13.7 |
| 74 | 銅製品 | 1.73% | 12.0 |
輸入 HS章 TOP10(2024)
| HS | 章名 | シェア | 金額(USD bn) |
|---|---|---|---|
| 27 | 鉱物性燃料(原油・LNG・石炭) | 24.11% | 166.3 |
| 85 | 電気機器・電子機器 | 12.62% | 87.1 |
| 84 | 機械類 | 9.95% | 68.6 |
| 30 | 医薬品 | 4.31% | 29.7 |
| 26 | 鉱石・スラグ・灰 | 3.93% | 27.1 |
| 90 | 光学・医療・精密機器 | 3.60% | 24.8 |
| 87 | 車両およびその部分品 | 3.36% | 23.1 |
| 71 | 真珠・貴金属・宝石 | 2.26% | 15.6 |
| 39 | プラスチック製品 | 2.10% | 14.5 |
| 29 | 有機化学品 | 1.99% | 13.7 |
HS 4 桁詳細:輸出 TOP15
HS 2 桁では「車両 23%」「電気機器 17%」と一括だった内訳を 4 桁に降ろすと、乗用車(8703)が単独で 16.4%、続いて集積回路 IC(8542)5.5%、半導体製造装置(8486)3.8%、自動車部品(8708)3.8%と、戦略品目が浮かび上がります。半導体関連(8542+8486+8541+8532)の合計は約 11.7% で、自動車関連(8703+8708+8704)の 21.5% に次ぐ第 2 の輸出柱となっています。
| HS4 | 品目 | シェア | 金額(USD bn) |
|---|---|---|---|
| 8703 | 乗用車(自動車) | 16.36% | 113.5 |
| 8542 | 集積回路(IC) | 5.49% | 38.1 |
| 8708 | 自動車部品 | 3.78% | 26.2 |
| 8486 | 半導体製造装置 | 3.77% | 26.1 |
| 7108 | 金(非貨幣用) | 2.65% | 18.4 |
| 8443 | 印刷機械(複合機含む) | 1.78% | 12.3 |
| 8429 | 建設機械(ブルドーザー等) | 1.66% | 11.5 |
| 8704 | 貨物自動車 | 1.35% | 9.4 |
| 8901 | 船舶(客船・貨物船) | 1.32% | 9.1 |
| 7208 | 鉄鋼熱延コイル | 1.32% | 9.1 |
| 8541 | 半導体素子(ダイオード・トランジスタ) | 1.30% | 9.0 |
| 3002 | 血液・抗血清・ワクチン | 1.12% | 7.8 |
| 8532 | コンデンサ | 1.08% | 7.5 |
| 2710 | 石油製品(精製ガソリン等) | 1.04% | 7.2 |
| 9018 | 医療機器 | 1.00% | 7.0 |
HS 4 桁詳細:輸入 TOP15
輸入側のエネルギー内訳が明確になります。HS27(鉱物性燃料 24%)の中身は 原油(2709)10.6% + LNG(2711)6.8% + 石炭(2701)3.9% + 石油製品(2710)2.6%です。次いで通信機器(8517、スマホ等)3.6%、コンピュータ(8471)2.5%、医薬品(3004)2.2% と、エネルギーと電子最終財・医薬品が輸入の中心となっています。
| HS4 | 品目 | シェア | 金額(USD bn) |
|---|---|---|---|
| 2709 | 原油 | 10.59% | 73.0 |
| 2711 | 石油ガス・LNG | 6.83% | 47.1 |
| 2701 | 石炭 | 3.88% | 26.7 |
| 8517 | 通信機器(スマートフォン等) | 3.64% | 25.1 |
| 2710 | 石油製品 | 2.63% | 18.2 |
| 8471 | コンピュータ | 2.53% | 17.5 |
| 3004 | 医薬品(小売用) | 2.20% | 15.2 |
| 2603 | 銅鉱石 | 1.92% | 13.2 |
| 3002 | 血液・抗血清・ワクチン | 1.86% | 12.9 |
| 8703 | 乗用車 | 1.71% | 11.8 |
| 2601 | 鉄鉱石 | 1.56% | 10.8 |
| 8542 | 集積回路(IC) | 1.39% | 9.6 |
| 8411 | ジェットエンジン | 1.25% | 8.6 |
| 8544 | 電気ケーブル | 1.21% | 8.4 |
| 8708 | 自動車部品 | 1.18% | 8.1 |
サプライチェーン上の役割
日本のサプライチェーン上の役割は 「高付加価値工業財の供給国 × エネルギー・一次資源の需要国」 の二面性を持っています。輸出側は世界の自動車・電子部品・産業機械サプライチェーンに供給し、輸入側は中東のエネルギー・豪州の鉱石・中国の中間財に深く依存する構造となっています。
世界に供給する財(輸出側): HS4 詳細で見ると、乗用車(8703)16.4% + 自動車部品(8708)3.8% + 貨物自動車(8704)1.4%の自動車関連で総輸出の 21.5%、集積回路(8542)5.5% + 半導体製造装置(8486)3.8% + 半導体素子(8541)1.3% + コンデンサ(8532)1.1%の半導体関連で 11.7% を占めます。日本は世界の自動車サプライチェーンの完成車供給国であると同時に、半導体製造装置(露光・成膜装置等)で台湾・韓国・米国を支える上流供給国でもあります。
依存している輸入元: エネルギー輸入の中身は HS4 で 原油(2709)10.6%、LNG(2711)6.8%、石炭(2701)3.9%です。原油は中東(サウジ・UAE)、LNG は豪州・カタール・米国、石炭は豪州・インドネシアが主要供給源となっています。鉱石類は銅鉱石(2603)1.9%、鉄鉱石(2601)1.6%を豪州・チリ・南アフリカに依存しています。電子最終財は通信機器(8517、スマートフォン等)3.6% を中国に約 76% 依存、コンピュータ(8471)2.5% も中国に約 66% 依存と、特定品目では極めて高い対中集中構造を示しています。
通過チョークポイント: 中東エネルギー(UAE+サウジ)のホルムズ海峡通過分が輸入額の約 10%、中国・東南アジアからのマラッカ海峡通過分が約 30%、米国経由のパナマ運河、欧州経由のスエズ運河と、複数の海上要衝に依存しています。海上輸送ルートの長さと多重依存性が日本貿易の構造的特徴となっています。
※ チョークポイント通過率は相手国 ISO2 ベースの簡易推定です(`PARTNER_CHOKEPOINTS` マッピング、相手国 → 主要通過点の単純対応)。実際の船舶航路・積替港・航空輸送・喜望峰迂回などの実観測ではなく、品目別ルートも考慮していないため、特定政策判断には PortWatch 等の船舶観測データと併用してください。
💡 主要 24 カ国の二国間貿易フローを世界地図で読み解く — Supply Chain Intelligence の貿易フローマップなら、相手国別・HS 品目別の貿易構造を地図と時系列チャートで確認できます。ゲストモードでマップを見る →
過去 8 年の構造変化(2017→2024)
2017 年と 2024 年でシェアが ±1pt 以上動いた相手国を対比すると、輸出側は中国向けの低下と米国・東南アジアへのシフト、輸入側は中国の縮小と中東エネルギー・豪州資源の拡大が読み取れます。最大変化は輸出最大相手国の入れ替わりです(2017: CN 20.29% > US 19.52% → 2024: US 20.33% > CN 18.71%)。
シェア拡大(+1pt 以上)
- 輸入 UAE: 3.36% → 5.34%(+1.98pt)— エネルギー輸入増
- 輸入 豪州: 6.18% → 7.23%(+1.05pt)— 鉱石・LNG 増
- 輸入 ベトナム: トップ 10 圏外 → 3.84% — 製造ハブ化
シェア縮小(-1pt 以上)
- 輸入 中国: 25.55% → 23.51%(-2.04pt)
- 輸出 中国: 20.29% → 18.71%(-1.58pt)— 首位陥落
- 輸出 韓国: 8.06% → 6.59%(-1.47pt)
リスクと依存度
- エネルギー輸入の中東集中: 原油(HS 2709)の供給は UAE+サウジ+カタール+クウェート等に集中しており、これらの国はすべてホルムズ海峡を通過します。中東情勢・海運障害の影響を直接受ける構造となっています
- 中国輸入の単一品目依存: 通信機器(HS 8517、スマホ等)の 76%、コンピュータ(HS 8471)の 66%、変圧器(HS 8504)の 62%、蓄電池(HS 8507)の 72%、モニター・テレビ(HS 8528)の 69%と、HS 4 桁レベルでは中国一国が過半を占める品目が多数あります。代替調達先(ベトナム・タイ・メキシコ)は限定的です
- 豪州・米国への戦略品目集中: 石炭(HS 2701)の 65% を豪州、ジェットエンジン(HS 8411)の 52% を米国、とうもろこし(HS 1005)の 82% を米国、プラチナ(HS 7110)の 69% を南アフリカと、特定の戦略物資で 1 国に過半を依存する構造となっています
- マラッカ海峡通過の高依存: 中国・ASEAN・豪州からの輸入は大半がマラッカ海峡経由で、輸入金額の約 30%がこの 1 海峡を通過すると推定されます。海運障害が貿易全体に直接波及するリスクがあります
合わせて読みたい指標
日本の貿易動向を読み解く際に並行して見ると有効な指標解説ガイドです:
- 原油(WTI / Brent) — 輸入の 24% を占める鉱物性燃料の価格基準
- LNG(アジア・JKM) — エネルギー輸入の主要構成要素
- 米国 10 年国債利回り / FF 金利 — 最大輸出先である米国の景気・需要を左右
- USD/JPY 為替 — 円ドル変動が輸出入金額(USD 換算)と国内収益に直接影響
- GSCPI(グローバル SC 圧力指数) — 日本貿易が依存する海運ルートの逼迫度
- 銅 / 鉄鉱石 — 主要輸入素材で、製造業コスト構造に直結
よくある質問(FAQ)
Q. 日本の貿易収支は黒字ですか、赤字ですか?
A. 赤字です(2024 年)。本記事は財務省貿易統計(円建て・税関ベース)で輸出 107.1 兆円 / 輸入 112.6 兆円 / 収支 -5.5 兆円の赤字を主表記とし、参考に World Bank BoP(BPM6、USD 建て)の輸出 約 6,945 億ドル / 輸入 約 7,187 億ドル / 収支 約 243 億ドルの赤字も併記しています。両者は同方向です。なお §4 以降の二国間 / 品目別分析は CEPII BACI(FOB 調整版、USD 建て)を用いるため絶対値に差が出ます(日本の 2024 年は BACI 輸入が WB BoP より約 4% 小さく、差の幅は国・年で大きく異なります)。構造分析の方向性は変わりません。「黒字 / 赤字」を語る際は必ず統計の出典を明記してください。
Q. BACI データと財務省貿易統計は何が違いますか?
A. BACI(CEPII 提供)は UN Comtrade 由来の二国間・品目別貿易データを国際比較可能に調整したデータベースで、輸入 CIF から運賃・保険料を推計除去してFOB ベースに統一し、輸出国側報告と輸入国側報告の差を調和させる設計です。一方、財務省貿易統計は日本の税関通関ベース(輸出 FOB / 輸入 CIF、円建て)で、国内政策・税収把握に最適化されています。本記事は両方を併用: 総額・収支・年次推移は World Bank BoP(200+ 国網羅、財務省と方向一致)、二国間 / HS4 構造分析は BACI(211 partner 国のデータ)、円建て参考値は財務省統計、と役割分担しています。
Q. 日本の最大の輸出品目は何ですか?
A. 2024 年の BACI ベースでは、HS87(鉄道車両を除く車両およびその部品)が総輸出の 22.98% で最大です。HS4 桁では乗用車(HS8703)が単独で 16.4%を占め、自動車部品(HS8708)と合わせると HS87 の主体を成します。次いで HS84 機械、HS85 電気機器(IC・半導体製造装置)が続き、上位 3 章で総輸出の約 60% を占めます。
Q. 日本の最大の輸入品目は何ですか?
A. 鉱物性燃料(HS27)です。2024 年の BACI ベースで総輸入の 24.11% を占め、内訳は原油(HS2709)10.6%、LNG(HS2711)6.8%、石炭(HS2701)3.9%。2022 年のロシア・ウクライナ戦争に伴う価格高騰時には HS27 単独で輸入額が 約 32.0 兆円(BACI で約 2,430 億ドル)まで急増し、貿易収支は財務省ベースで -20.3 兆円(WB BoP の USD 換算で約 1,157 億ドルの赤字)の過去最大級赤字となりました。
Q. 日本の最大の輸出相手国はどこですか?
A. BACI 2024 ベースでは米国(20.3%)です。2017 年は中国(20.4%)が首位でしたが、米中対立・サプライチェーン再編・自動車輸出の伸びで 2024 年は米国に首位が交代しました。なお、財務省貿易統計の年次・基準通貨によって首位が入れ替わる可能性があるため、断定する場合は出典を明記してください。
データソースと注記
- 公式データソース: 総額・収支・年次推移は World Bank BoP、相手国別 / HS4 品目別の構造分析は CEPII BACI HS17 V202601(UN Comtrade 調整版)を参照しています
- 役割分担方式の採用: 本記事は 総額・収支・年次推移を World Bank BoP(BPM6、200+ 国網羅)、二国間 / HS4 品目分析を CEPII BACI HS17(FOB 調整、集計対象は主要 24 カ国だが日本起点では 211 の貿易相手国を捕捉)、円建て参考値を財務省貿易統計から取得する 3 ソース構成です。それぞれ異なる定義 / 用途のため、絶対値は数 % 〜 数十 % 異なりますが、構造分析の方向は概ね一致します
- BACI と WB BoP / 財務省統計の差: BACI は輸入 CIF を運賃・保険料の推計除去で FOB に統一する設計のため、輸入総額は WB BoP(FOB ベースだが税関統計に近い)と異なります。報告国 / 相手国データの調和処理や対象範囲の違いから輸出側にも差が出ます。差の方向と幅は国・年・輸出/輸入で大きく異なります(例: 2024 年は中国輸入で約 26%、日本輸入で約 4% の差)。日本の 2024 年(参考値): BACI 輸入 約 104.5 兆円(約 6,898 億ドル)、WB BoP 輸入 約 108.9 兆円(約 7,187 億ドル)→ BACI が約 4.0% 小さく出ています。財務省貿易統計(円建て・税関 CIF ベース)は 112.6 兆円で、WB BoP よりさらに約 3% 大きく出ます
- BoP と財務省統計の符号差: 2018 / 2019 / 2021 年は BoP では小幅黒字でも財務省では小幅赤字となります。CIF/FOB と為替換算(年平均レート)の組合せで方向(黒字 / 赤字)が反転する場合があるため、「黒字 / 赤字」を語る際は必ず出典を明記してください
- BACI の公表ラグ: BACI は通常 1〜2 年遅れで公表されるため、最新確定年は 2024 年です。2025 年以降の動向は別データソース(各国税関速報等)で補完が必要となります
- HS 4 桁集計の対象範囲: 本記事の HS 4 桁集計は 1 レコード(reporter × partner × HS4)あたり 100 万 USD 以上を対象としています。総額(TOTAL)・HS 2 章別合計・HS 2 由来の 9 大分類構成は全件集計のためこのフィルタの影響を受けません。HS4 由来の数値(§4 表 C/D、§6 の HS4 詳細、§7・§8 の HS4 単一国シェア)のみ影響範囲です。主要 HS 章での欠落は 1% 未満に収まっています(HS27 鉱物性燃料 0.01% / HS85 電気機器 0.27% / HS84 機械 0.51% / HS87 車両 0.23% など)
- HS 4 単一国依存シェアの上振れバイアス: 「通信機器(HS8517)を中国に約 76% 依存」のような HS 4 桁ベースの単一国依存シェアは、上記の集計範囲(100 万 USD 以上)により小規模 partner(1M 未満の tail)が分母から外れるため、実態より 1〜2 pp 高く出る方向にわずかな上振れバイアス があります。絶対値ではなく相対的な依存構造として読み取ってください
- HS 6 桁以上の細分化は別途必要: HS 4 桁の「乗用車(8703)」にはハイブリッド車・EV・ガソリン車が混在し、「集積回路(8542)」にはメモリ・ロジック・MPU が混在しています。タイプ別の分析には HS 6 桁データが必要です
- サービス貿易の中身は対象外: §4 で扱うサービス収支は WB BoP の合計値のみで、知財使用料・観光・金融・通信などの内訳分析は本記事の範囲外です(IMF BOPS / e-Stat BoJ 月次国際収支等で補完可能)
- USD 建ての為替影響: 円安局面(例: 2022 年)ではドル建ての縮小と実数量変化が乖離するため、円建て(財務省)の参考値も併記しています
- チョークポイント通過率の推定: 相手国-チョークポイントの対応は `PARTNER_CHOKEPOINTS` マッピングによる単純化で、実際の海運ルート選択(喜望峰経由等)・積替港・航空輸送・品目別ルートは考慮していません。特定政策判断には PortWatch 等の船舶観測データと併用してください
日本を含む主要 24 カ国の貿易フローマップ
Supply Chain Intelligence の貿易フローマップは、CEPII BACI HS17 データ(2017〜2024 年)をもとに、主要 24 カ国の二国間貿易を世界地図上で可視化するツールです。輸出入の切替、HS 章別・品目別(HS4 / HS6)のドリルダウン、相手国別シェアの円グラフ、年次推移チャートを一画面で操作できます。
- ✅ 世界地図上の二国間貿易フロー可視化(輸出↑ / 輸入↓ 切替)
- ✅ HS 章別・HS4 / HS6 品目別のドリルダウン
- ✅ 相手国別シェアの円グラフ + 年次推移チャート(2017〜2024 年)
- ✅ 主要 24 カ国を reporter として切替(無料登録で全機能解放)
- ✅ 出典: CEPII BACI HS17(UN Comtrade 調整版・FOB 統一)