こんにちは、国際貿易動向を伝えるメディアLanesです。(Xはこちら)今回は医療用品産業の国際貿易データから輸出入の傾向を解説します。この記事をご覧いただくことにより、医療用品産業の国際的な動向の変化を知ることができます。
医療用品産業における傾向と主要な産業をまとめると以下の通りです。
- 世界の医療用品に関わる製品[第30類:医療用品]の貿易取引金額(輸入金額)は、2004年のおよそ25兆円から、2023年ではおよそ123兆円と20年間で4.96倍に成長しています。
- 2023年で輸出金額の最も大きい国はドイツでおよそ16.8兆円です。その後スイス、アメリカが続いています。世界的に2011年頃から輸出金額が増加傾向にあります。
- 2023年で輸入金額の最も大きい国はアメリカでおよそ24.9兆円です。その後ドイツ、ベルギーが続いています。

※本来はドルベースでの比較が良いと思いますが、今回は分かりやすいように日本円に変換しているため、時系列データは為替の影響を含むものになっています。数字の増加や減少傾向はそちらを考慮の上捉えていただければと思います。
※世界の貿易金額の参考地として「輸入金額」をベンチマークしています。これは国内に到着した商品の記録として、正確性が比較的高いと判断するためです。一方で輸入金額はCIF価格ベースで報告されるため、商品自体の価値に加え、輸送費や保険を含めた金額であることに留意くしてください。
※上記のすべての情報は、あくまで参考として善意で提供されており、データや情報が将来にわたって正確であるという保証はありません。情報を利用する際には、ユーザー自身の判断と責任でご利用ください。
世界の輸入金額傾向

医療用品に関わる製品[第30類:医療用品]は、2023年の輸入金額ではおよそ123兆円となっており、HSコードの上2桁[類]の97類中、[第5位]の金額となっています。
また、[第30類:医療用品]の輸入金額は、2004年のおよそ25兆円から、2023年では123兆円と20年間で4.96倍に成長しており、成長率は97類中[第7位]となっています。
主要な輸出国と輸出金額の傾向

2023年における輸出金額は1位がドイツでおよそ16.8兆円です。続いて2位スイスがおよそ13.9兆円、3位アメリカが12.7兆円、4位ベルギーが11.6兆円、5位アイルランドが10.0兆円となっています。
主に欧米の国々において輸出が盛んとなっており、2011年と2012年を境にして傾きが大きくなっています。2010年代初頭より多くの主要医薬品の特許が切れ、ジェネリック医薬品が普及し始めたことと、それにより、製造コスト削減のため世界中へ製造をアウトソーシングしたことで、急激に市場が開かれたことが背景としてあります。

2023年の輸出金額における各国のシェアです。トップ5のドイツ、スイス、アメリカ、ベルギー、アイルランドで世界の輸出金額の50%を占めています。その後にイタリア、フランス、オランダが続き欧米がほとんどのシェアを持ちます。ジェネリック医薬品が拡大して以後は、インドもシェアを拡大してきました。
主要な輸入国と輸入金額の傾向

2023年における輸入金額は1位がアメリカでおよそ24.9兆円です。続いて2位ドイツがおよそ10.3兆円、3位ベルギーが10.0兆円、4位スイスが8.2兆円、5位中国が6.0兆円となっています。
輸入金額についてはアメリカが2位に2倍以上の差をつけて圧倒的な首位となっています。これは先述のジェネリック医薬品の浸透に加え、FDAによる規制緩和があり、海外で製造された医薬品の承認手続きの効率化を進め、より多くの外国製薬品がアメリカ市場に流入しやすくなりました。

2023年の輸入金額における各国のシェアです。トップ5の国々に加えてフランスを含めて世界の輸入金額の50%を占めています。日本はフランス、イタリアについでシェアとしては8位(3.5%)となっています。
参考:第30類に含まれる項目一覧(HSコード)
3001:臓器療法用の腺その他の器官(乾燥したものに限るものとし、粉状にしてあるかないかを問わない。)及び腺その他の器官又はその分泌物の抽出物で臓器療法用のもの並びにヘパリン及びその塩並びに治療用又は予防用に調製したその他の人又は動物の物質(他の項に該当するものを除く。) |
3002:人血、治療用、予防用又は診断用に調製した動物の血、免疫血清その他の血液分画物及び免疫産品(変性したものであるかないか又は生物工学的方法により得たものであるかないかを問わない。)、ワクチン、毒素、培養微生物(酵母を除く。)その他これらに類する物品並びに細胞培養物(変性したものであるかないかを問わない。) |
3003:医薬品(治療用又は予防用に混合した二以上の成分から成るもので、投与量にしてなく、かつ、小売用の形状又は包装にしてないものに限るものとし、第30.02項、第30.05項又は第30.06項の物品を除く。) |
3004:医薬品(混合し又は混合してない物品から成る治療用又は予防用のもので、投与量にしたもの(経皮投与剤の形状にしたものを含む。)又は小売用の形状若しくは包装にしたものに限るものとし、第30.02項、第30.05項又は第30.06項の物品を除く。) |
3005:脱脂綿、ガーゼ、包帯その他これらに類する製品(例えば、被覆材、ばんそうこう及びパップ剤)で、医薬を染み込ませ若しくは塗布し又は医療用若しくは獣医用として小売用の形状若しくは包装にしたもの |
3006:この類の注4の医療用品 |