こんにちは、国際貿易動向を伝えるメディアLanesです。(Xはこちら)今回は石炭や石油、LNG等を含む鉱物性燃料産業の国際貿易データから輸出入の傾向を解説します。この記事をご覧いただくことにより、鉱物性燃料産業の国際的な動向の変化を知ることができます。
鉱物性燃料産業における傾向と主要な産業をまとめると以下の通りです。
- 世界の鉱物性燃料関連製品に関わる製品[第27類 : 鉱物性燃料及び鉱物油]の貿易取引金額(輸入金額)は、2004年のおよそ116兆円から、2023年ではおよそ468兆円と20年間で4.02倍に成長しています。
- 2023年で輸出金額の最も大きい国はアメリカでおよそ45兆円です。その後ロシア、サウジアラビアが続いています。近年アメリカが急激に輸出シェアを伸ばしてきました。
- 2023年で輸入金額の最も大きい国は中国でおよそ72兆円です。その後アメリカ、インドが続いています。

※本来はドルベースでの比較が良いと思いますが、今回は分かりやすいように日本円に変換しているため、時系列データは為替の影響を含むものになっています。数字の増加や減少傾向はそちらを考慮の上捉えていただければと思います。
※世界の貿易金額の参考地として「輸入金額」をベンチマークしています。これは国内に到着した商品の記録として、正確性が比較的高いと判断するためです。一方で輸入金額はCIF価格ベースで報告されるため、商品自体の価値に加え、輸送費や保険を含めた金額であることに留意くしてください。
※上記のすべての情報は、あくまで参考として善意で提供されており、データや情報が将来にわたって正確であるという保証はありません。情報を利用する際には、ユーザー自身の判断と責任でご利用ください。
世界の輸入金額傾向

鉱物性燃料関連製品に関わる製品[第27類 : 鉱物性燃料及び鉱物油]は、2023年の輸入金額ではおよそ468兆円となっており、HSコードの上2桁[類]の97類中、[第2位]の金額となっています。
また、[第27類 : 鉱物性燃料及び鉱物油]の輸入金額は、2004年のおよそ116兆円から、2023年では468兆円と20年間で4.02倍に成長しており、成長率は97類中[第27位]となっています。
鉱物性燃料の輸入金額は20年間程およそ200兆円前後の金額を推移していましたが、ウクライナーロシアの戦争をきっかけに燃料価格が高騰し、2022年以後大きく輸入金額が増加しています。
主要な輸出国と輸出金額の傾向

2023年における輸出金額は1位がアメリカでおよそ45.3兆円です。続いて2位ロシアがおよそ36.5兆円、3位サウジアラビアが35.6兆円、4位アラブ首長国連邦が24.7兆円、5位カナダが20.0兆円となっています。
元々鉱物性燃料の供給(輸出)はロシアとサウジアラビアのツートップが牽引していましたが、2010年代以後シェールオイルの開発技術が発達・普及し、ここ20年間でアメリカが急速に産油量を増加させています。
また、ロシア産の鉱物性燃料はウクライナーロシア戦争を契機とし多くの国が禁輸に動きましたが、中国やインドが輸入数を伸ばしていると言われており、2022~2023年は輸入側のミラーデータになるものの、ロシアの輸出金額はそこまで落ち込んでいないとされています。

2023年の輸出金額における各国のシェアです。上述したトップ5以外にもオランダ、オーストラリア、ノルウェー、イラク等で世界の輸出金額の50%を占めています。それぞれの国で特色があり、オランダは産油国ではなくヨーロッパの玄関口として輸入した鉱物性燃料を石油製品に加工して輸出をしていると言う点やや、オーストラリアは石炭、ノルウェーはLNGの輸出が多いと言う特徴があります。
主要な輸入国と輸入金額の傾向

2023年における輸入金額は1位が中国でおよそ72.1兆円です。続いて2位アメリカがおよそ37.4兆円、3位インドが30.9兆円、4位日本が27.4兆円、5位韓国が24.0兆円となっています。
輸入金額については人口が多く、工業化が進んでいる国々で大きくなっていることが分かります。特徴的なのがアメリカで上述している自国での生産が増加しているため、直近2年を除けば大きなトレンドとして輸入は減少傾向にありました。
一方で1位の中国は工業化が急速に進んだ影響もあり全体的に増加傾向が他国よりも傾きが大きいことと、またこれも上述の通りインドを含めてロシアの輸入を請け負っているため金額がこの2年間で大幅に増加している様子が見てとれます。

2023年の輸入金額における各国のシェアです。トップ5の国々に加えてオランダ、ドイツを含めて世界の輸入金額のおよそ50%を占めています。
参考:第27類に含まれる項目一覧(HSコード)
2701:石炭及び練炭、豆炭その他これらに類する固形燃料で石炭から製造したもの |
2702:亜炭(凝結させてあるかないかを問わないものとし、黒玉を除く。) |
2703:泥炭(ピートリッターを含むものとし、凝結させてあるかないかを問わない。) |
2704:コークス及び半成コークス(石炭、亜炭又は泥炭から製造したものに限るものとし、凝結させてあるかないかを問わない。)並びにレトルトカーボン |
2705:石炭ガス、水性ガス、発生炉ガスその他これらに類するガス(石油ガスその他のガス状炭化水素を除く。) |
2706:石炭、亜炭又は泥炭を乾留して得たタールその他の鉱物性タール(再生タールを含むものとし、脱水してあるかないか又は蒸留により成分の一部を除いてあるかないかを問わない。) |
2707:高温コールタールの蒸留物及びこれに類する物品で芳香族成分の重量が非芳香族成分の重量を超えるもの |
2708:ピッチ及びピッチコークス(コールタールその他の鉱物性タールから得たものに限る。) |
2709:石油及び歴青油(原油に限る。) |
2710:石油及び歴青油(原油を除く。)、これらの調製品(石油又は歴青油の含有量が全重量の70%以上のもので、かつ、石油又は歴青油が基礎的な成分を成すものに限るものとし、他の項に該当するものを除く。)並びに廃油 |
2711:石油ガスその他のガス状炭化水素 |
2712:ペトロラタム並びにパラフィンろう、ミクロクリスタリン石油ワックス、スラックワックス、オゾケライト、モンタンろう、泥炭ろうその他の鉱物性ろう及びこれらに類する物品で合成その他の方法により得たもの(着色してあるかないかを問わない。) |
2713:石油コークス、石油アスファルトその他の石油又は歴青油の残留物 |
2714:天然ビチューメン、天然アスファルト、歴青質頁岩、油母頁岩、タールサンド、アスファルタイト及びアスファルチックロック |
2715:歴青質混合物(天然アスファルト、天然ビチューメン、石油アスファルト、鉱物性タール又は鉱物性タールピッチをもととしたものに限る。例えば、マスチック及びカットバック) |