こんにちは、国際貿易動向を伝えるメディアLanesです。(Xはこちら)今回は油糧種子産業の国際貿易データから輸出入の傾向を解説します。この記事をご覧いただくことにより、油糧種子産業の国際的な動向の変化を知ることができます。
油糧種子産業における傾向と主要な産業をまとめると以下の通りです。
- 世界の油糧種子に関わる製品[第12類:採油用の種及び果実、各種の種及び果実、工業用又は医薬用の植物並びにわら及び飼料用植物]の貿易取引金額(輸入金額)は、2004年のおよそ3.8兆円から、2023年ではおよそ22.4兆円と20年間で5.90倍に成長しています。
- 2023年で輸出金額の最も大きい国はブラジルでおよそ7.6兆円です。その後アメリカ、カナダが続いています。
- 2023年で輸入金額の最も大きい国は中国でおよそ9.8兆円です。その後ドイツ、日本が続いています。
※本来はドルベースでの比較が良いと思いますが、今回は分かりやすいように日本円に変換しているため、時系列データは為替の影響を含むものになっています。数字の増加や減少傾向はそちらを考慮の上捉えていただければと思います。
※世界の貿易金額の参考地として「輸入金額」をベンチマークしています。これは国内に到着した商品の記録として、正確性が比較的高いと判断するためです。一方で輸入金額はCIF価格ベースで報告されるため、商品自体の価値に加え、輸送費や保険を含めた金額であることに留意くしてください。
※上記のすべての情報は、あくまで参考として善意で提供されており、データや情報が将来にわたって正確であるという保証はありません。情報を利用する際には、ユーザー自身の判断と責任でご利用ください。
世界の輸入金額傾向
油糧種子に関わる製品[第12類:採油用の種及び果実、各種の種及び果実、工業用又は医薬用の植物並びにわら及び飼料用植物]は、2023年の輸入金額ではおよそ22.4兆円となっており、HSコードの上2桁[類]の97類中、[第27位]の金額となっています。
また、[第12類:採油用の種及び果実、各種の種及び果実、工業用又は医薬用の植物並びにわら及び飼料用植物]の輸入金額は、2004年のおよそ3.8兆円から、2023年では22.4兆円と20年間で5.90倍に成長しており、成長率は97類中[第2位]となっています。
主要な輸出国と輸出金額の傾向
上のグラフは[第12類:採油用の種及び果実、各種の種及び果実、工業用又は医薬用の植物並びにわら及び飼料用植物]の輸出金額ランキングTOP5の国々を示しています。2023年における輸出金額は1位がブラジルでおよそ7.6兆円です。続いて2位アメリカがおよそ4.8兆円、3位カナダが1.2兆円、4位オーストラリアが6,200億円、5位オランダが5,400億円となっています。
油糧種子にもいくつか種類がありますが、その大半が「大豆」です。大豆の生産には温暖な気候(20~30度)で十分な降水量と日照時間、そして広大で平坦な土地を必要とします。そのためブラジルとアメリカが2大供給地となっていることと、後に出てくる中国での需要増大によりこの2カ国の輸出量も大きく伸びています。
2023年の輸出金額における各国のシェアです。ブラジルとアメリカの2カ国で世界の輸出金額の60%弱を占めています。
主要な輸入国と輸入金額の傾向
上のグラフは[第12類:採油用の種及び果実、各種の種及び果実、工業用又は医薬用の植物並びにわら及び飼料用植物]の輸入金額ランキングTOP5の国々を示しています。2023年における輸入金額は1位が中国でおよそ9.8兆円です。続いて2位ドイツがおよそ1.1兆円、3位日本が8,100億円、4位メキシコが8,100億円、5位アルゼンチンが8,000億円となっています。
輸入金額については圧倒的に中国が他国を引き離しています。もちろん油糧種子として輸入しているため、食用油として利用されますが、その採油した後の副産物である大豆粕も、中国では家畜用の飼料としてとても需要が高いという背景があります。
中国では経済水準の高まりと共に肉食が盛んになり、以下の記事でもある通り、食肉の輸入が2019年頃から急激に増加しています。もちろん輸入だけでなく中国国内での家畜生産も盛んになっているため、大豆の需要が急増しているのです。
2023年の輸入金額における各国のシェアです。中国単体で43.7%のシェアを誇り、ドイツと日本を加えた3カ国で世界の輸入金額の50%のシェアを獲得しています。
参考:第12類に含まれる項目一覧(HSコード)
1201:大豆(割つてあるかないかを問わない。) |
1202:落花生(煎つてないものその他の加熱による調理をしてないものに限るものとし、殻を除いてあるかないか又は割つてあるかないかを問わない。) |
1203:コプラ |
1204:亜麻の種(割つてあるかないかを問わない。) |
1205:菜種(割つてあるかないかを問わない。) |
1206:ひまわりの種(割つてあるかないかを問わない。) |
1207:その他の採油用の種及び果実(割つてあるかないかを問わない。) |
1208:採油用の種又は果実の粉及びミール(マスタードの粉及びミールを除く。) |
1209:播種用の種、果実及び胞子 |
1210:ホップ(生鮮のもの及び乾燥したものに限るものとし、粉砕し、粉状にし又はペレット状にしたものであるかないかを問わない。)及びルプリン |
1211:主として香料用、医療用、殺虫用、殺菌用その他これらに類する用途に供する植物及びその部分(種及び果実を含み、生鮮のもの及び冷蔵し、冷凍し又は乾燥したものに限るものとし、切り、砕き又は粉状にしたものであるかないかを問わない。) |
1212:海草その他の藻類、ローカストビーン、てん菜及びさとうきび(生鮮のもの及び冷蔵し、冷凍し又は乾燥したものに限るものとし、粉砕してあるかないかを問わない。)並びに主として食用に供する果実の核及び仁その他の植物性生産品(チコリー(キコリウム・インテュブス変種サティヴム)の根で煎つてないものを含むものとし、他の項に該当するものを除く。) |
1213:穀物のわら及び殻(切り、粉砕し、圧縮し又はペレット状にしたものであるかないかを問わないものとし、調製したものを除く。) |
1214:ルタバガ、飼料用のビートその他の飼料用の根菜類、飼料用の乾草、ルーサン(アルファルファ)、クローバー、セインホイン、飼料用のケール、ルーピン、ベッチその他これらに類する飼料用植物(ペレット状にしてあるかないかを問わない。) |