こんにちは、国際貿易動向を伝えるメディアLanesです。(Xはこちら)今回は鉱石産業の国際貿易データから輸出入の傾向を解説します。この記事をご覧いただくことにより、鉱石産業の国際的な動向の変化を知ることができます。

鉱石産業における傾向と主要な産業をまとめると以下の通りです。

  • 世界の鉱石に関わる製品[第26類:鉱石、スラグ及び灰]の貿易取引金額(輸入金額)は、2004年のおよそ6.8兆円から、2023年ではおよそ52.0兆円と20年間で7.68倍に成長しています。
  • 2023年で輸出金額の最も大きい国はオーストラリアでおよそ14.6兆円です。その後ブラジル、チリが続いています。
  • 2023年で輸入金額の最も大きい国は中国でおよそ33.3兆円です。その後日本、韓国が続いています。
第26類 鉱石、スラグ及び灰の国際貿易統計概要
第26類 鉱石、スラグ及び灰の国際貿易統計概要

※本来はドルベースでの比較が良いと思いますが、今回は分かりやすいように日本円に変換しているため、時系列データは為替の影響を含むものになっています。数字の増加や減少傾向はそちらを考慮の上捉えていただければと思います。

※世界の貿易金額の参考地として「輸入金額」をベンチマークしています。これは国内に到着した商品の記録として、正確性が比較的高いと判断するためです。一方で輸入金額はCIF価格ベースで報告されるため、商品自体の価値に加え、輸送費や保険を含めた金額であることに留意くしてください。

※上記のすべての情報は、あくまで参考として善意で提供されており、データや情報が将来にわたって正確であるという保証はありません。情報を利用する際には、ユーザー自身の判断と責任でご利用ください。

世界の輸入金額傾向

世界の鉱石、スラグ及び灰の輸入金額20年推移
世界の鉱石、スラグ及び灰の輸入金額20年推移

鉱石に関わる製品[第26類:鉱石、スラグ及び灰]は、2023年の輸入金額ではおよそ52兆円となっており、HSコードの上2桁[類]の97類中、[第11位]の金額となっています。

また、[第26類:鉱石、スラグ及び灰]の輸入金額は、2004年のおよそ6.8兆円から、2023年では52.0兆円と20年間で7.68倍に成長しており、成長率は97類中[第1位]となっています。

主要な輸出国と輸出金額の傾向

鉱石、スラグ及び灰の輸出金額上位5カ国の輸出金額推移
鉱石、スラグ及び灰の輸出金額上位5カ国の輸出金額推移

上のグラフは[第26類:鉱石、スラグ及び灰]の輸出金額ランキングTOP5の国々を示しています。2023年における輸出金額は1位がオーストラリアでおよそ14.6兆円です。続いて2位ブラジルがおよそ4.9兆円3位チリが4.0兆円4位ペルーが3.8兆円5位南アフリカが2.3兆円となっています。

オーストラリアが頭一つ抜け出しており、その他の4カ国の輸出金額は同水準です。全体的な傾向として、オーストラリアを除く4カ国は緩やかに上昇を見せていますが、オーストラリアは、2009年以後や2018年以後に大きく輸出量を伸ばす傾向が見られます。

鉱石の中でも多くの割合を占めるのは鉄鉱石で、オーストラリアは鉄鉱石の質が良いのと、地理的に他国と比較して中国と近いことが急上昇の背景にあります。

2023年における鉱石、スラグ及び灰の国別輸出シェア
2023年における鉱石、スラグ及び灰の国別輸出シェア

2023年の輸出金額における各国のシェアです。トップ3のオーストラリア、ブラジル、チリでで世界の輸出金額の50%を占めています。鉱石資源は地理的に偏在するため、一定の国に輸出は偏ります。

主要な輸入国と輸入金額の傾向

鉱石、スラグ及び灰の輸入金額上位5カ国の輸入金額推移
鉱石、スラグ及び灰の輸入金額上位5カ国の輸入金額推移

上のグラフは[第26類:鉱石、スラグ及び灰]の輸入金額ランキングTOP5の国々を示しています。2023年における輸入金額は1位が中国でおよそ33.3兆円です。続いて2位日本がおよそ3.7兆円3位韓国が2.8兆円4位ドイツが1.6兆円5位インドが8,200億円となっています。

輸入金額については中国が世界の6割以上の需要を創出しています。鉄鉱石が多く使われる様ととしては建築物、造船、車といった用途が多く、いずれもTOP3である中国、日本、韓国にて国内需要や製品製造としての需要があり基幹産業となっているものです。

2023年における鉱石、スラグ及び灰の国別輸入シェア
2023年における鉱石、スラグ及び灰の国別輸入シェア

2023年の輸入金額における各国のシェアです。中国が64.1%と圧倒的なシェアを誇り、日本と韓国を加えて、世界の75%の需要を作っています。

参考:第26類に含まれる項目一覧(HSコード)

2601:鉄鉱(精鉱及び焼いた硫化鉄鉱を含む。)
2602:マンガン鉱(精鉱を含む。)及び含鉄マンガン鉱(精鉱を含むものとし、マンガンの含有量が乾燥状態において全重量の20%以上のものに限る。)
2603:銅鉱(精鉱を含む。)
2604:ニッケル鉱(精鉱を含む。)
2605:コバルト鉱(精鉱を含む。)
2606:アルミニウム鉱(精鉱を含む。)
2607:鉛鉱(精鉱を含む。)
2608:亜鉛鉱(精鉱を含む。)
2609:すず鉱(精鉱を含む。)
2610:クロム鉱(精鉱を含む。)
2611:タングステン鉱(精鉱を含む。)
2612:ウラン鉱及びトリウム鉱(精鉱を含む。)
2613:モリブデン鉱(精鉱を含む。)
2614:チタン鉱(精鉱を含む。)
2615:ニオブ鉱、タンタル鉱、バナジウム鉱及びジルコニウム鉱(精鉱を含む。)
2616:貴金属鉱(精鉱を含む。)
2617:その他の鉱(精鉱を含む。)
2618:粒状スラグ(スラグサンド。鉄鋼製造の際に生ずるものに限る。)
2619:スラグ、ドロス(粒状スラグを除く。)、スケールその他のくず(鉄鋼製造の際に生ずるものに限る。)
2620:スラグ、灰及び残留物(砒素、金属又はこれらの化合物を含有するものに限るものとし、鉄鋼製造の際に生ずるものを除く。)
2621:その他のスラグ及び灰(海草の灰(ケルプ)を含む。)並びに都市廃棄物の焼却によつて生じた灰及び残留物