1. 世界の港湾活動マップ – なぜ港湾データを可視化するのか

グローバル物流の要となる港湾における活動状況の把握は、国際貿易、サプライチェーン管理、投資判断において極めて重要な要素です。しかし、従来は港湾活動データの収集・分析は限られた専門機関のみが行っており、一般の企業や研究者がリアルタイムの港湾動向を把握することは困難でした。

この度、私たちは港湾活動監視サービスのベータ版をリリースいたしました。本サービスは、世界主要約100港の港湾活動をリアルタイムで監視し、直感的なダッシュボードで可視化するサービスです。

Port Activity Monitor

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2025-05-30
港湾データダッシュボード

🚢 港湾データダッシュボード

リアルタイム港湾活動監視システム

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更新タイミング

毎週火曜日

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2.サービスの意義と価値

2-1. グローバル物流の透明性向上

国際物流における「ブラックボックス」とも言える港湾活動の可視化により、物流業界全体の透明性を大幅に向上させます。これまで推測に頼っていた港湾の混雑状況や活動レベルを、客観的なデータで把握できるようになります。

2-2. データドリブンな意思決定の支援

定量的な港湾活動データにより、以下のような戦略的意思決定を支援します:

  • 物流ルートの最適化: 混雑している港湾を避けた効率的な輸送ルートの選択
  • 在庫管理の高度化: 港湾活動レベルに基づく入荷時期の予測と在庫調整
  • 投資判断の精度向上: 港湾関連インフラや物流企業への投資タイミングの最適化

2-3. 早期警戒システムとしての機能

港湾活動の異常値を検知することで、物流リスクの早期発見が可能になります。自然災害、労働争議、政治的要因による港湾機能停止の予兆を捉え、適切な対応策を講じることができます。

3. サービスの要素解説

3-1. Port Activity Monitor(世界マップ)

項目内容
対象港世界 94 港(主要コンテナ港+戦略拠点港)
表示形式Leaflet 地図 + 円形ヒートバブル
活動レベルVery Low (0‑29%) – Very High (86‑100%)
インタラクションクリックで KPI ポップアップ表示
時系列表示直近 7 日分を横スライダーで切替、Auto Play ▶️ でアニメーション再生

3-2. 港湾データダッシュボード(時系列分析)

  • 対象期間:最大 30 日(β版)
  • 指標チャート:寄港数 / コンテナ寄港数 / 輸出入 TEU / 港湾活動指数
  • アラート:平均比 1.2 倍〜 2 倍超で色分け表示
指標定義単位
寄港数 (port_calls)当日 00:00–24:00 UTC の全船種着岸回数
コンテナ船寄港数 (container_calls)コンテナ専用船のみの寄港回数
輸入 TEU / 輸出 TEU当日荷役を完了したコンテナ容量TEU
港湾活動指数 (Activity_Index)(寄港比×0.3 + コンテナ取扱比×0.7) × 50 を 0–100 に正規化%

更新タイミング

  • Port_Watchの更新に合わせておよそ週に1回程度(更新日に対して反映されるデータは数日のラグがあります)

3-3. データソースと信頼性

ソース名提供主体取得方法遅延
IMF PortWatch – Daily Trade DataIMF / OxfordREST API約 1 ~数日

補足

  • バルスト航行・タグボート等は除外済み。
  • “No Data” 表示は AIS 欠測または前日入港ゼロを意味し、欠航とは限りません。
  • 本マップは 商用 API キー不要・無償 のパブリックレイヤーのみを利用しているため、誰でも確認・検証が可能です。

4. 画面イメージと活用法

4-1.港湾活動マップの活用方法

本マップは世界約100港の当日活動度を色別バブルで示します。

  • :青(0–29%)→緑→黄→橙→赤(86–100%)で混雑度を表現。
  • 大きさ:指数に応じて半径が拡大し、寄港数の多寡を直感表示。
  • 操作:バブルをクリックすると港名・寄港数・輸出入TEUなど詳細KPIがポップアップ。ズーム/パンで地域拡大、右下凡例で色階層を再確認できます。

活動マップは、バブルので混雑度(青=低 ▶ 赤=非常に高)を、サイズで寄港規模を表現します。バブルをクリックすると港名・港コード・寄港数・輸入/輸出 TEU・データ日など詳細がポップアップ表示。地図はドラッグで移動、ホイールまたは左上の+/−で拡大縮小でき、右下凡例で色階層を再確認できます。

4-2.港湾データダッシュボードの活用方法

港湾データダッシュボードは、最新更新日と次回更新予定を一目で確認し、プルダウンで100港から任意の港を選択すると、寄港数やTEU推移など30日分の詳細チャートとアラートが自動表示されます。ズーム不要で港別の動きを深掘りでき、港選択はいつでも変更可能です。

寄港回数チャートは、実線が直近30日間の実績、赤破線が過去平均を示します。下部カードで最新値・平均値・最大最小値を即確認し、ピークや急減少の要因分析に活用できます。

コンテナ寄港数は港湾寄港回数の内、コンテナ船が寄港した回数を示しています。寄港回数チャートと同様の項目が確認できます。

輸出入TEUチャートでは紫線=輸入、橙線=輸出を30日間プロットしています。波形で繁閑を視覚化し、下部カードに最新値と累計値を即表示します。両線の乖離から荷動きの偏りや季節要因を把握し、在庫・船腹計画の根拠データとして活用可能です。ピークをクリックすると日別値を確認でき、輸入主導・輸出主導の転換点も見逃しません。

港湾活動指数チャートは、オレンジ線で稼働度を0–100%で表示し、赤破線が過去平均を示します。最新・平均・最大・最小値がカードに並び、平常域(0–50%の帯)も背景で視覚化しています。指数の山谷から繁閑のリズムや異常値を即座に把握でき、港湾の活動の活発さが混雑状況やストライキの状況を映し出します。

5. 3つの基礎的なユースケース

5-1. ブッキング前の「事前チェックリスト」

  1. 出荷予定港の色を確認
  2. 赤・橙なら即フォワーダーに空きバース状況を照会
  3. 黄以下でも、輸出TEUが急増していないかをポップアップで確認
    →予防的に2便予約 & 早期CY搬入を設定すれば、追加費用より長期遅延リスクの方が高い状況を回避できます。

5-2. 代替港・経路のシミュレーション

同一地域で緑の港が見つかれば、ROROやシャトルフィーダーを利用した**“陸路+短距離海運”**に切り替え可能か社内で迅速に議論できます。
例:シンガポール赤→ポートクラン黄→マレー鉄道・トラック併用でリードタイム確保。

5-3. 顧客・社内向けレポートの裏付け資料

「遅延の恐れがあります」という曖昧説明では荷主は動きません。マップのスクリーンショットと色+数字を添え、「混雑指数は通常の3倍、輸入TEUは前週比40%増」というエビデンス付き通知を出すことで、追加費用の承認や納期変更の調整がスムーズになります。


6. 実務担当者別チェックポイント

部門何を注視?アクション例
オペレーション今日・明日出港船の寄港地色荷主と搬入時刻を調整、遅延連絡を前倒し
営業赤港に入る見込み貨物の有無顧客へ先んじて代替提案→信頼獲得
倉庫管理輸入TEU急増(赤+数字大)一時保管スペースを事前確保
経営層地域別“赤”の集中度航路ポートフォリオやチャーター方針を再検討

7. よくある誤解と対処法

Q: 緑なら100%安全?
A: 港外待機時間トランシップ遅延は反映されないため、主要ハブ港は黄でも警戒継続が無難。

Q: 赤が続いたら何日遅れる?
A: バース開放と荷役能力で変動。“赤→橙に戻るまで”を観察し、平均2〜3日を遅延見込みに加算すると実態に近い。

Q: 灰色=欠航?
A: 休港日や地方港でAIS信号が取れない場合も含む。輸出入予定がある場合は現地代理店に直接確認を。