こんにちは、国際貿易動向を伝えるメディアLanesです。(Twitterはこちら)今回は、近年急速に伸びつつある、日本の木材輸出傾向について紹介します。この記事をご覧いただくことにより、日本の木材輸出の現状と木材市場の成長率を理解いただくことができます。

  • 木材業界の輸出金額は10年で成長率310.1%になっている
  • 「木製のたる」や「合板」に限れば、輸出金額は10年間で900%の成長率となっている。
  • 化粧ばり用単板や木毛及び木粉は輸出金額が10年間で半分になってしまっている。

それでは詳細を見ていきましょう。

データの概要

今回取り扱うのは、輸出統計品目における、

第44類 木材及びその製品並びに木炭

HS44類には以下の項目が含まれています。

  • 4401:のこくず及び木くず(棒状、ブリケット状、ぺレット状その他これらに類する形状に凝結させてあるかないかを問わない。)、薪材並びにチップ状又は小片状の木材
  • 4402:木炭(植物性の殻又はナットの炭を含むものとし、凝結させてあるかないかを問わない。)
  • 4403:木材(粗のものに限るものとし、皮若しくは辺材を剥いであるかないか又は粗く角にしてあるかないかを問わない。)
  • 4404:たが材、割つたポール、木製のくい(端をとがらせたものに限るものとし、縦にひいたものを除く。)、木製の棒(つえ、傘の柄、工具の柄その他これらに類する物品の製造に適するもので粗削りしたものに限るものとし、ろくろがけし、曲げ又はその他の加工をしたものを除く。)及びチップウッドその他これに類するもの
  • 4405:木毛及び木粉
  • 4406:木製の鉄道用又は軌道用の枕木
  • 4407:木材(縦にひき若しくは割り、平削りし又は丸剥ぎしたもので、厚さが6ミリメートルを超えるものに限るものとし、かんながけし、やすりがけし又は縦継ぎしたものであるかないかを問わない。)
  • 4408:化粧ばり用単板(積層木材を平削りすることにより得られるものを含む。)、合板用単板、これらに類する積層木材用単板及びその他の縦にひき、平削りし又は丸剥ぎした木材(厚さが6ミリメートル以下のものに限るものとし、かんながけし、やすりがけし、はぎ合わせをし又は縦継ぎしたものであるかないかを問わない。)
  • 4409:さねはぎ加工、溝付けその他これらに類する加工をいずれかの縁、端又は面に沿つて連続的に施した木材(寄せ木床用のストリップ又はフリーズで組み立ててないものを含むものとし、かんながけし、やすりがけし又は縦継ぎしたものであるかないかを問わない。)
  • 4410:パーティクルボード、オリエンテッドストランドボード(OSB)その他これに類するボード(例えば、ウェファーボード)(木材その他の木質の材料のものに限るものとし、樹脂その他の有機結合剤により凝結させてあるかないかを問わない。)
  • 4411:繊維板(木材その他の木質の材料のものに限るものとし、樹脂その他の有機物質により結合してあるかないかを問わない。)
  • 4412:合板、ベニヤドパネルその他これらに類する積層木材
  • 4413:改良木材(塊状、板状、ストリップ状又は形材のものに限る。)
  • 4414:木製の額縁、鏡枠その他これらに類する縁
  • 4415:木製のケース、箱、クレート、ドラムその他これらに類する包装容器、木製のケーブルドラム及び木製のパレット、ボックスパレットその他の積載用ボード並びに木製のパレット枠
  • 4416:木製のたる、おけその他これらに類する容器及び木製のこれらの部分品(たる材及びおけ材を含む。)
  • 4417:木製の工具並びに工具、ほうき又はブラシの木製のボデー、柄及び握り並びに靴の木型
  • 4418:木製建具及び建築用木工品(セルラーウッドパネル、組み合わせた床用パネル及びこけら板を含む。)
  • 4419:木製の食卓用品及び台所用品
  • 4420:寄せ木し又は象眼した木材、宝石用又は刃物用の木製の箱、ケースその他これらに類する製品及び木製の小像その他の装飾品並びに第94類に属しない木製の家具
  • 4421:その他の木製品

データソースには2015年1月までは国連COMTRADE統計のデータを、2015年1月以降は日本の財務省貿易統計を利用しています。

貿易金額の10年間のトレンド

2023年の金額データでランキングは以下の通りです。

  1. 4403 : 木材(粗のものに限るものとし、皮若しくは辺材を剥いであるかないか又は粗く角にしてあるかないかを問わない。) – 23,002,833,000円
  2. 4412 : 合板、ベニヤドパネルその他これらに類する積層木材 – 10,313,785,000円
  3. 4407 : 木材(縦にひき若しくは割り、平削りし又は丸剥ぎしたもので、厚さが6ミリメートルを超えるものに限るものとし、かんながけし、やすりがけし又は縦継ぎしたものであるかないかを問わない。) – 6,453,771,000円
  4. 4418 : 木製建具及び建築用木工品(セルラーウッドパネル、組み合わせた床用パネル及びこけら板を含む。) – 2,933,341,000円
  5. 4421 : その他の木製品 – 1,501,848,000円
  6. 4420 : 寄せ木し又は象眼した木材、宝石用又は刃物用の木製の箱、ケースその他これらに類する製品及び木製の小像その他の装飾品並びに第94類に属しない木製の家具 – 1,493,159,000円
  7. 4419 : 木製の食卓用品及び台工用品 – 1,684,043,000円
  8. 4409 : さねはぎ加工、溝付けその他これらに類する加工をいずれかの縁、端又は面に沿つて連続的に施した木材(寄せ木床用のストリップ又はフリーズで組み立ててないものを含むものとし、かんながけし、やすりがけし又は縦継ぎしたものであるかないかを問わない。) – 581,343,000円
  9. 4410 : パーティクルボード、オリエンテッドストランドボード(OSB)その他これに類するボード(例えば、ウェファーボード)(木材その他の木質の材料のものに限るものとし、樹脂その他の有機結合剤により凝結させてあるかないかを問わない。) – 572,093,000円
  10. 4415 : 木製のケース、箱、クレート、ドラムその他これらに類する包装容器、木製のケーブルドラム及び木製のパレット、ボックスパレットその他の積載用ボード並びに木製のパレット枠 – 383,030,000円
  11. 4411 : 繊維板(木材その他の木質の材料のものに限るものとし、樹脂その他の有機物質により結合してあるかないかを問わない。) – 341,826,000円
  12. 4408 : 化粧ばり用単板(積層木材を平削りすることにより得られるものを含む。)、合板用単板、これらに類する積層木材用単板及びその他の縦にひき、平削りし又は丸剥ぎした木材(厚さが6ミリメートル以下のものに限るものとし、かんながけし、やすりがけし、はぎ合わせをし又は縦継ぎしたものであるかないかを問わない。) – 282,963,000円
  13. 4416 : 木製のたる、おけその他これらに類する容器及び木製のこれらの部分品(たる材及びおけ材を含む。) – 211,346,000円
  14. 4402 : 木炭(植物性の殻又はナットの炭を含むものとし、凝結させてあるかないかを問わない。) – 208,403,000円
  15. 4417 : 木製の工具並びに工具、ほうき又はブラシの木製のボデー、柄及び握り並びに靴の木型 – 181,635,000円
  16. 4401 : のこくず及び木くず(棒状、ブリケット状、ぺレット状その他これらに類する形状に凝結させてあるかないかを問わない。)、薪材並びにチップ状又は小片状の木材 – 107,635,000円
  17. 4414 : 木製の額縁、鏡枠その他これらに類する縁 – 105,813,000円
  18. 4413 : 改良木材(塊状、板状、ストリップ状又は形材のものに限る。) – 14,996,000円
  19. 4404 : たが材、割つたポール、木製のくい(端をとがらせたものに限るものとし、縦にひいたものを除く。)、木製の棒(つえ、傘の柄、工具の柄その他これらに類する物品の製造に適するもので粗削りしたものに限るものとし、ろくろがけし、曲げ又はその他の加工をしたものを除く。)及びチップウッドその他これに類するもの – 5,466,000円
  20. 4405 : 木毛及び木粉 – 2,663,000円
  21. 4406 : 木製の鉄道用又は軌道用の枕木 – 0円
Check Point

2023年の日本の木材輸出金額ランキングを見ると、粗木材(4403)が約230億円で最も高く、次いで合板・ベニヤドパネル等の積層木材(4412)が約103億円、厚さ6mm超の木材(4407)が約64億円と続いています。建具・建築用木工品(4418)や木製の食卓用品・台所用品(4419)、その他の木製品(4421)、木製の箱・ケース等の装飾品(4420)も上位にランクインしており、日本の木材輸出は多岐にわたっていることがわかります。一方、木製の鉄道用・軌道用の枕木(4406)は輸出実績がありませんでした。

10年間の変化率で市場の変化を読む

2013年から2023年の増加率TOP3:

  1. 4416 : 木製のたる、おけその他これらに類する容器及び木製のこれらの部分品(たる材及びおけ材を含む。)
    • – 2013年:19,679,000円、2023年:211,346,000円、増加率:973.97%
  2. 4412 : 合板、ベニヤドパネルその他これらに類する積層木材
    • – 2013年:1,027,672,000円、2023年:10,313,785,000円、増加率:903.61%
  3. 4414 : 木製の額縁、鏡枠その他これらに類する縁
    • – 2013年:11,788,000円、2023年:105,813,000円、増加率:797.63%
Check Point

2013年から2023年にかけて、木製のたる・おけ等の容器・部分品(4416)が約974%、合板・ベニヤドパネル等の積層木材(4412)が約904%、木製の額縁・鏡枠等(4414)が約798%と大幅な増加率を示しています。これらの品目は、10年間で輸出金額が大きく伸びており、日本の木材輸出における有望な分野であると言えます。特に、木製のたる・おけ等の容器・部分品(4416)は、2013年の約1,967万円から2023年には約2億1,134万円へと、10倍以上に増加しています。

2013年から2023年の減少率TOP3:

  1. 4408 : 化粧ばり用単板(積層木材を平削りすることにより得られるものを含む。)、合板用単板、これらに類する積層木材用単板及びその他の縦にひき、平削りし又は丸剥ぎした木材(厚さが6ミリメートル以下のものに限るものとし、かんながけし、やすりがけし、はぎ合わせをし又は縦継ぎしたものであるかないかを問わない。)
    • – 2013年:607,407,000円、2023年:282,963,000円、減少率:-53.41%
  2. 4405 : 木毛及び木粉
    • – 2013年:5,358,000円、2023年:2,663,000円、減少率:-50.30%
  3. 4411 : 繊維板(木材その他の木質の材料のものに限るものとし、樹脂その他の有機物質により結合してあるかないかを問わない。)
    • – 2013年:637,704,000円、2023年:341,826,000円、減少率:-46.40%
Check Point

2013年から2023年にかけて、化粧ばり用単板・合板用単板等(4408)が約53%、木毛・木粉(4405)が約50%、繊維板(4411)が約46%と大幅な減少率を示しています。これらの品目は、10年間で輸出金額が大きく減少しており、日本の木材輸出における課題や競争力の低下が懸念される分野であると言えます。特に、化粧ばり用単板・合板用単板等(4408)は、2013年の約6億740万円から2023年には約2億8,296万円へと、半分以下に減少しています。

まとめ

日本の木材輸出は、この10年間で大きな変化が見られました。粗木材や合板等の積層木材、木製の容器や額縁・鏡枠などの主要項目は大幅な増加を遂げた一方、化粧ばり用単板等の薄い木材、木毛及び木粉、繊維板などは減少傾向にあります。今後の市場動向を見極めるには、以下の点に注目すべきでしょう。

  1. 環境意識の高まりによる木材需要の変化:世界的な環境意識の高まりを受け、持続可能な木材資源の利用がより重要になってきています。合法的で持続可能な木材の供給体制の整備が求められるでしょう。
  2. 新興国の経済成長に伴う木材需要の変化:アジアを中心とした新興国の経済成長により、建築用木材や家具用木材の需要が拡大する可能性があります。日本企業は、これらの国々のニーズを的確に捉えた商品開発と販売戦略が重要になります。
  3. 木材の高付加価値化と新用途開発:単純な木材輸出だけでなく、加工技術を活かした高付加価値商品の開発が鍵を握ります。また、木材の新たな用途開発にも注力し、需要の多様化を図ることが求められます。

日本の木材輸出は、粗木材や合板等の積層木材を中心に大きな成長を遂げています。環境意識の高まりや新興国の需要増加を踏まえつつ、持続可能な木材供給体制の構築と高付加価値商品の開発により、さらなる市場開拓が期待できるでしょう。一方で、減少傾向にある項目については、市場ニーズを見極め、商品の見直しや販売戦略の再構築が必要になるかもしれません。

変化の激しい市場環境の中で、日本企業には的確な情勢分析と柔軟な対応力が益々重要になるでしょう。日本の高品質な木材と加工技術が、世界の様々な分野で活躍することを期待したいと思います。