こんにちは、国際貿易動向を伝えるメディアLanesです。(Xはこちら)今回は野菜生産業の国際貿易データから輸出入の傾向を解説します。この記事をご覧いただくことにより、野菜生産業の国際的な動向の変化を知ることができます。
野菜生産業における傾向と主要な産業をまとめると以下の通りです。
- 世界の野菜に関わる製品[第07類:食用の野菜、根及び塊茎]の貿易取引金額(輸入金額)は、2004年のおよそ3.5兆円から、2023年ではおよそ13.3兆円と20年間で3.82倍に成長しています。
- 2023年で輸出金額の最も大きい国は中国でおよそ1.5兆円です。その後メキシコ、オランダが続いています。
- 2023年で輸入金額の最も大きい国はアメリカでおよそ2.2兆円です。その後ドイツ、イギリスが続いています。
![第07類 食用野菜の国際貿易統計概要](https://lanes.info/wp-content/uploads/2024/12/07類-食用野菜の国際貿易統計概要.jpg)
※本来はドルベースでの比較が良いと思いますが、今回は分かりやすいように日本円に変換しているため、時系列データは為替の影響を含むものになっています。数字の増加や減少傾向はそちらを考慮の上捉えていただければと思います。
※世界の貿易金額の参考地として「輸入金額」をベンチマークしています。これは国内に到着した商品の記録として、正確性が比較的高いと判断するためです。一方で輸入金額はCIF価格ベースで報告されるため、商品自体の価値に加え、輸送費や保険を含めた金額であることに留意くしてください。
※上記のすべての情報は、あくまで参考として善意で提供されており、データや情報が将来にわたって正確であるという保証はありません。情報を利用する際には、ユーザー自身の判断と責任でご利用ください。
世界の輸入金額傾向
![食用野菜の輸入金額20年推移](https://lanes.info/wp-content/uploads/2024/12/食用野菜の輸入金額20年推移.png)
野菜に関わる製品[第07類:食用の野菜、根及び塊茎]は、2023年の輸入金額ではおよそ13.3兆円となっており、HSコードの上2桁[類]の97類中、[第29位]の金額となっています。
また、[第07類:食用の野菜、根及び塊茎]の輸入金額は、2004年のおよそ3.5兆円から、2023年では13.3兆円と20年間で3.82倍に成長しており、成長率は97類中[第25位]となっています。
主要な輸出国と輸出金額の傾向
![食用野菜の輸出金額上位5カ国の輸出金額推移](https://lanes.info/wp-content/uploads/2024/12/食用野菜の輸出金額上位5カ国の輸出金額推移.png)
上のグラフは[第07類:食用の野菜、根及び塊茎]の輸出金額ランキングTOP5の国々を示しています。2023年における輸出金額は1位が中国でおよそ1.5兆円です。続いて2位メキシコがおよそ1.4兆円、3位オランダが1.3兆円、4位スペインが1.3兆円、5位カナダが9,000億円となっています。
また各国で輸出の中心となる品目は異なっており、中国は【ニンニク】、メキシコは【トマト、パプリカやピーマン】、オランダも【パプリカやピーマン、トマトに加えて玉ねぎ、ジャガイモ】、スペインは【パプリカやピーマン、トマトに加えてキュウリ】、カナダは【レンズ豆やエンドウ豆】となっています。
![2023年における食用野菜の国別輸出シェア](https://lanes.info/wp-content/uploads/2024/12/2023年における食用野菜の国別輸出シェア.png)
2023年の輸出金額における各国のシェアです。トップ5にアメリカを加えて、世界の輸出金額の50%を占めています。輸出金額の3/4は14カ国で占められており、農産品は世界中で栽培されているものの、国を上げて農産品を大量に輸出できている国はそこまで多くないことになります。
主要な輸入国と輸入金額の傾向
![食用野菜の輸入金額上位5カ国の輸入金額推移](https://lanes.info/wp-content/uploads/2024/12/食用野菜の輸入金額上位5カ国の輸入金額推移.png)
上のグラフは[第07類:食用の野菜、根及び塊茎]の輸入金額ランキングTOP5の国々を示しています。2023年における輸入金額は1位がアメリカでおよそ2.2兆円です。続いて2位ドイツがおよそ1.2兆円、3位イギリスが6,900億円、4位フランスが6,500億円、5位カナダが5,300億円となっています。
2010年頃まではアメリカとドイツは輸入金額で競っていましたが、アメリカがその後一気に他国を突き放し、2兆円台の輸入金額となっています。野菜は量もそうですが、先進国ほど単価の高い野菜を購買する力があるため、TOP5やそれ以後も欧米の国々が名前を連ねています。
![2023年における食用野菜の国別輸入シェア](https://lanes.info/wp-content/uploads/2024/12/2023年における食用野菜の国別輸入シェア.png)
2023年の輸入金額における各国のシェアです。トップ5の国々に加えてオランダ、中国、トルコを含めて世界の輸入金額の50%を占めています。日本は77位で95億円と輸入金額は相対的に高くはありません。日本の場合はスーパーに並んでいる野菜も国内産が多いことから分かる通り、国内の供給で需要がある程度満たされています。
参考:第07類に含まれる項目一覧(HSコード)
0701:ばれいしよ(生鮮のもの及び冷蔵したものに限る。) |
0702:トマト(生鮮のもの及び冷蔵したものに限る。) |
0703:たまねぎ、シャロット、にんにく、リーキその他のねぎ属の野菜(生鮮のもの及び冷蔵したものに限る。) |
0704:キャベツ、カリフラワー、コールラビー、ケールその他これらに類するあぶらな属の食用の野菜(生鮮のもの及び冷蔵したものに限る。) |
0705:レタス(ラクトゥカ・サティヴァ)及びチコリー(キコリウム属のもの)(生鮮のもの及び冷蔵したものに限る。) |
0706:にんじん、かぶ、サラダ用のビート、サルシファイ、セルリアク、大根その他これらに類する食用の根(生鮮のもの及び冷蔵したものに限る。) |
0707:きゆうり及びガーキン(生鮮のもの及び冷蔵したものに限る。) |
0708:豆(生鮮のもの及び冷蔵したものに限るものとし、さやを除いてあるかないかを問わない。) |
0709:その他の野菜(生鮮のもの及び冷蔵したものに限る。) |
0710:冷凍野菜(調理してないもの及び蒸気又は水煮による調理をしたものに限る。) |
0711:一時的な保存に適する処理をした野菜(そのままの状態では食用に適しないものに限る。) |
0712:乾燥野菜(全形のもの及び切り、砕き又は粉状にしたものに限るものとし、更に調製したものを除く。) |
0713:乾燥した豆(さやを除いたものに限るものとし、皮を除いてあるかないか又は割つてあるかないかを問わない。) |
0714:カッサバ芋、アロールート、サレップ、菊芋、かんしよその他これらに類するでん粉又はイヌリンを多量に含有する根及び塊茎(生鮮のもの及び冷蔵し、冷凍し又は乾燥したものに限るものとし、切つてあるかないか又はペレット状にしてあるかないかを問わない。)並びにサゴやしの髄 |