こんにちは、海運と経済をつなぐメディアLanesです。(Twitterはこちら)既に6月も中旬になってしまいましたが、今回は海運業界/経済動向の観点で、5月にTwitterで取り上げたLanes的注目トピックをランキング形式で振り返っていきたいと思います。

Lanesでの記事は業界のまとめや動向を、ファクト情報を調査/整理してお届けするボリューミーな記事が多いですが、Twitterの方では日々のニュースをベースにできるだけ新しい気づきが生まれるようツイートしていますので、是非そちらもチェックしてみてください。

なお、本ランキングはあくまでも筆者目線であり、重要度順ではない旨ご理解ください。それでは、ランキングを見ていきましょう!

第5位:資源価格の高騰

5月は上記の燃料のみならず、食料、非鉄金属、木材に至るまで、あらゆる資源が値上がりした5月でした。アメリカのインフレは加速し、5月に追加の大幅利上げも実施。ウクライナでの戦争は終結の見通しがなく不安定な状況が続いています。

日本国内でもあらゆるものの値段が上がっています。米国のインフレとは異なり、賃金が上がっている訳ではないので、日本の場合はシンプルに値上がり分が家計へのインパクトとなります。この状況を表現する「スタグフレーション」という言葉もよく耳にするようになりました。これらの動きに歯止めがかかるのか、引き続き注視したいと思います。

第4位:EU-ETSの外航海運取り込みについて環境委員会で承認

EU-ETSの外航海運取り込みについて、欧州の環境委員会で承認されました。(ツイートでは環境委員会の記載がなく、語弊がありますね…)ただ、6月の欧州議会本会議では否決され、再度環境委員会へ差し戻されたと既に報じられています。

本件はまた来月のランキングでも触れることになると思いますが、本否決の背景は海運ではなく、道路輸送や商業ビル向けの内容が対象ということで、今後の合意形成はどうなっていくのでしょうか。

第3位:リセッションの足音

第5位にも挙げた、利上げや資源価格の高騰の影響、また落ち着きつつはあるものの世界的な物流サプライチェーンの混乱が、大きく経済に影響し始めています。

取り上げた上記のツイートは中国において、企業の景況感を示す景気指標のひとつPMIが急激に落ち込んでいること、また、米国では急激にクレジット残高が高まっていることなど、様々な経済指標からリセッションが近づいていること叫ばれています。

ゴールドマンサックスシティの幹部がリセッションに備えよとコメントがメディアでは注目を集めていますが、金融セクターはどちらに転んでも儲かる準備をしていると思いますので、あまり言葉に躍らされず備えるのが大切ですね。

第2位:海運企業の好決算続出

5月と言えば決算情報が続々と開示されるタイミング。期待されていた通り海運企業に好決算が相次ぎました。要因は世界の物流が混乱したことによる運賃の高騰。海運企業は歴史上最も恩恵を授かった決算となったでしょう。

一方で海運業界はリーマンショック以後、これまで長く冬の時期を堪え忍んでいたという側面もあります。いずれにしてもユーザーである我々は一刻も早くサプライチェーンの混乱が収まることを祈るばかりです。

第1位:東証で排出量取引の市場開設

第1位はこちら。東証において排出量取引の専門市場が9月から実証実験に入り、2023年に本格稼働のニュースです。いよいよ日本でも排出権取引が始まります。実証実験にはGXリーグに加盟する、日本郵船と商船三井も含まれています。

第4位の記事の通り、EU-ETSに外航海運は現状含まれていないため、日本の日本郵船と商船三井が先行するという言い方もできるかもしれませんね。ただ、EU-ETSは参加が義務化されているのに対し、日本では参加が任意で罰則もないため、実態がどうなるかは注目です。

なお、金融情報会社リフィニティブの調査では、EUにおける2021年の排出量取引の金額は6825億ユーロ(約90兆円)となっており、参加が義務づけられていることが、活発な取引や排出量削減につながっているということです。

まとめ

さて、みなさんの2022年5月はいかがでしたでしょうか?ニュースは比較的景気悪化の懸念が多い一方で、海運企業が春を謳歌しているコントラストが特徴的でした。景気不安がある一方で、脱炭素に向けた技術開発や制度設計は着々と進んでいるようにも感じます。短期・中期・長期でしっかりと動向を追いかけていきましょう。