こんにちは、海運と経済をつなぐメディアLanesです。(Twitterはこちら)今回は、今回は海運業界においても影響力の大きな資源メジャーについて取り上げていきます。この記事をご覧いただくことで、海運や物流における資源メジャーの立ち位置と、ヴァーレ/リオ・ティント/BHPといった企業の概要、そして、資源動向から今後の脱炭素社会における変化まで幅広く知っていただくことができます。早速見ていきましょう。

海運業界における資源メジャーの立ち位置

世界の主要品目別海上輸送量

まずはこちらの円グラフをご覧ください。これは、世界の海上輸送の中で各品目が占める割合を示しています。ご覧いただく通り、海上輸送の半数(物流の半数と言っても過言ではありません)を「石油」「鉄鉱石」「石炭」「穀物」の4品目で占めていることがわかります。

世界の主要な石油/資源/穀物メジャー

またこれらの資源はその採掘や生産から販売までを一気通貫で担い、寡占的に数社がシェアの大部分を握っている構造になっています。これがメジャーと呼ばれる大企業の複合体です。

寡占的と表現されている通り、それぞれの企業のパワーも強く、互いに価格の設定等も牽制し合っていると言われています。今回の記事では鉄鉱石/石炭において、世界3大資源メジャーと呼ばれている、ヴァーレ/リオ・ティント/BHPを取り上げていきます。

世界3大資源メジャー

ヴァーレ企業概要

企業名:Vale SA
設立:1943年
代表者:Eduardo De Salles Bartolomeo
売上高:5.99兆円(2021年度)
事業概要:世界3大資源メジャーの1社であり、世界最大鉄鉱石採掘者の一つ
URLhttp://www.vale.com

リオ・ティント企業概要

企業名:Rio Tinto PLC
設立:1962年
代表者:Jakob Stausholm (Chief Executive Officer),Simon Robert Thompson (Chairman)
売上高:6.98兆円(2021年度)
事業概要:世界3大資源メジャーの1社であり、北米とオーストラリアを中心に、世界各地でさまざまな鉱物を採掘している
URLhttps://www.riotinto.com/

ビーエイチピー企業概要

企業名:BHP Group Ltd
設立:1885年
代表者:John Kenneth Norman MacKenzie (Chairman),Mike Henry (Chief Executive Officer)
売上高: 6.07兆円(2021年度)
事業概要:世界3大資源メジャーの1社であり、鉄鉱石、銅、石油、ガス、冶金などを供給する世界有数の総合鉱山会社
URLhttps://www.bhp.com/

上記の3社がどのようなビジネスを営んでいるかを簡単に触れると、次の画像イメージのように、鉄鉱石を中心とする鉱物資源を採取、加工し様々な製品の原料として販売しています。もちろん資源メジャーも事業の多角化により様々なビジネスを実施していますが、本記事ではこの鉱物資源を中心としたビジネスについて触れていきます。

資源メジャーのビジネスイメージ

鉱業は大別すると、鉄・鉄合金金属、非鉄金属、貴金属、工業用鉱物、鉱物燃料といった領域に分けることができ、その中で取り扱っている資源について一部例としては、

  • 鉄鉱石
  • 石炭
  • アルミニウム
  • ニッケル
  • ダイアモンド

などが挙げられます。

鉱物資源業界の今後の見通しについて

結論としては、今後も資源メジャーの重要性や存在感は更に高まっていくでしょう。背景としては、今後数十年に渡って世界の人口や都市的な生活の拡大、そして脱炭素の潮流を鑑みても、資源需要は高まり、なくてはならない存在だからです。

まずはマクロ動向から、以下はBHPが発表している資料からとなります。

BHPによるマクロ動向把握
  • 人口は現在の77億人から、2030年に85億人、2050年には100億人程度まで人口が増加する見通し
  • そのうち都市人口は、現在43億人、2030年に52億人、2050年に70億人程度まで増加する見通し
  • 名目GDPは、現在87兆ドル、2030年に161兆ドル、2050年に400兆ドル程度まで増加する見込み
  • 資本的資質(設備投資等)は、現在23兆ドル、2030年に37兆ドル、2050年に80兆ドル程度まで増加する見込み

こういった、人類の発展に伴い、資源需要も拡大していきます。次に各社が発表する資源需要の予測を見ていきましょう。

リオ・ティントによる需要予測

リオ・ティントは、金属需要は人口増や都市化による気候変動対策によって増加すると見込んでいます。循環型社会であっても一次原料である、スチールやアルミニウム、銅や好物の代わりになるものがない場合が多いというのが背景のようで、資源メジャーは気候変動への取り組みに対する恩恵を受けられると見込んでいるようです。

資料によれば、

  • 2050年までに「アルミニウム」の消費量は約1.83倍
  • 2050年までに「銅」の消費量は約1.84倍
  • 2050年までに「粗鋼」の消費量は約1.21倍
  • 2050年までに「リチウム」の消費量は約11.6倍

となることを見込んでいます。

ヴァーレによる需要予測

続いてヴァーレの見通し。「エネルギー転換には、激しく金属を消費する」という風に謳っています。特に風力発電と太陽光発電が広がることによって、鉄、銅、ニッケルといった彼らの主要な供給資源がより必要になると説明しています。

また、資源需要を次のレベルへ導く3つの主要な要因として、

  • 人口増加(コモディティの需要を引き起こす主要因)
  • EV化(内燃機関の車の6倍鉱物を使用する)
  • リショアリング(生産拠点の自国内への戻す動きは新たな投資を導く)

を挙げています。

ヴァーレによる成長性予測

また、同じくヴァーレによれば、ニッケルの需要はこれから10年間でバッテリー利用の観点だけでも約6倍に銅の需要はEV利用の観点で約5倍、再生可能エネルギー利用の観点で約2倍になると見込まれているとのことです。

上記からも、資源需要というのはこれからまだまだ旺盛になりそうであることがわかります。

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