各社の売上高比較

続いて各社の売上高を比較します。

過去5年のヴァーレ年間総売上高
過去5年のリオ・ティント年間総売上高
過去5年のBHP年間総売上高

売上規模やトレンドを含め各社同じような傾向となっています。特に2021年決算では各社売上が大きく伸長している様子がわかり、リオ・ティント、BHPでは過去最高益を達成しています。

この背景は各社の発表からも、中国の輸入増や新型コロナウイルス禍からの回復を受けた価格上昇が要因であると分析されています。

主要な鉱物については過去のトレンドを見ても安定的な生産・供給により大きく需給が変化することは少ないですが、直近は環境技術の需要の高まり、特に電動化によるバッテリー需要から、リチウムやコバルトの供給需要に対する投資が増えてきているようです。

三大メジャーの事業比較

セグメント売上高の比較

続いてセグメントの比較です。

ヴァーレセグメント売上高
リオ・ティントセグメント売上高
BHPセグメント売上高

各社とも鉄鉱石がメインのビジネスセグメントとなり、売上高からもわかる通り世界最大の鉄鉱石生産企業群です。セグメントの切り方にそれぞれ特徴がありますが、それらが各社の特徴になりますので以下の項目で比較していきます。

生産拠点

ヴァーレの生産拠点

ヴァーレの主な生産拠点

鉄鉱石部門:ブラジルの主に3カ所の鉱山
ニッケル部門:インドネシア、カナダ、ブラジル
銅部門:ブラジル、インドネシア、カナダ

Valeは卑金属(Base metals)のセグメントがあります。その中に、銅やニッケル、アルミニウム等が意味合いとして含まれています。中でも、ニッケルの生産が世界最大級であり、これは2006年にカナダのInco Limited.を買収したことによるものです。

ヴァーレの拠点マップ

上図はValeの卑金属ビジネスに関する各拠点のリソースを現したものです。これから需要が加速するニッケルや銅については、インドネシア、カナダ、ブラジルが、主な供給源となっています。

ヴァーレのEVサプライチェーン

EVサプライチェーンの構築にも力をいれるようですね。今後の米国におけるEV化の波を見越して大きな設備投資を行いながらキャパシティーを広げていく見込みのようです。


リオ・ティントの生産拠点

リオ・ティントの主な生産拠点

鉄鉱石部門:西オーストラリア
アルミニウム部門:オーストラリア、ブラジル、ギニアにある4ヵ所のボーキサイト鉱山と、オーストラリア、ブラジル、カナダにある4ヵ所の精製所
銅部門:US、モンゴル、チリにある3ヵ所の銅事業オペレーション

リオ・ティントはアルミニウム生産量で世界一であり、それがセグメントにも現れています。これは2007年にカナダのAlcan Inc.を買収したことによるものです。

リオティントの拠点マップ

上図はリオ・ティントの生産拠点をマッピングしたもになります。北米、豪州を中心に、アジア、アフリカにも拠点を拠点を抱えています。

リオ・ティントの再生可能エネルギーのアドバンテージマップ

リオ・ティントは再生可能エネルギーを活用した生産活動に積極的です。脱炭素化に向けた投資も盛んですね。CCS技術を持ったスタートアップへも巨額の投資をしています。

なお、再生可能エネルギーに有利な地域というのに関連して、先日地理的に「太陽光発電」と「風力発電」のポテンシャルを示したマップを見つけましたので、気になる方は是非チェックしてみてください。リオ・ティントの拠点も確かにその上にあります。


BHPの生産拠点

BHPの主な生産拠点

鉄鉱石部門:オーストラリア
銅部門:チリ、オーストラアリア、アメリカ
ニッケル部門:オーストラリア

BHPは鉄鉱石に加えて、チリのエスコンディーダ、スペンス、セロコロラドの各事業所にある世界最大級の銅鉱床から銅を採掘しており、銅生産に強みがあります。

BHPの拠点マップ

世界中に拠点がありますが、オーストラリア、北米、南米に集中しているのが分かります。

BHPのポジショニング

上図では競合と比較してもBHPが最大の銅資原量を有していることを示しており、硫化ニッケルにおいても世界で2番目の資源量を誇っています。

事業投資

ヴァーレの事業投資

ヴァーレのニッケルビジネス見通し

ここまでも何度か出てきていますが、ヴァーレはニッケルへの投資を増やしていきます。2021年から3年間でニッケルの生産計画を20~30%増強していく予定です。

ヴァーレのプロジェクトポートフォリオ

上記の通り、ニッケルのポートフォリオが鉄鉱石や銅並に厚くなっていますね。

リオ・ティントの事業投資

リオティントの脱炭素への投資計画

リオ・ティントは成長と共に脱炭素に力を入れていきます。2022年~2030年における脱炭素への投資は75億ドルにも達する見通しを立てています。

BHPの事業投資

BHPの投資領域

BHPも既存事業では主力の銅に継続投資しながらもヴァーレも投資しているニッケルも視野に入れています。また、テクノロジー領域において、自動運搬や機械学習による自動化も着手し、BHP Venturesによるスタートアップ投資先にも注目が集まります。

まとめ

本日は海運業界の荷主視点で資源メジャーを取り上げました。資源メジャーは引き続きビジネスを伸ばし、世の中および海運業界に対してもプレゼンスを発揮し続けることになるでしょう。

注目すべきはEV化による需要の変化です。サプライチェーンの形が変われば需要や運搬の形も変わるため、大手企業の投資領域や方向性に引き続き注目していきたいと思います。

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